「ようこそ、《捻じくれた深淵の鈴(パラレルラインアビスリリー)》……うわっなんだその羽!邪魔じゃないのか?」
「……気にしないで……これは、私の背負った罪……」
「あっそ……西村。ジジイは?」
「トイレ行くっつったあと見失いました」
「カ~ス!!」
「……大日向先輩……良い知らせと、悪い知らせがあるのだけど……」
「そういうのは悪い知らせから行くのが鉄板さ。ボクは一人っ子じゃないけど好きなものは最後に食べる」
「天海桜望ですが、やはりまだ“難しい”ようです……記憶の保持……それを紐つける命名……彼を阻むものは、たくさん」
「あっそう。そういうのは悪い知らせとは言わないね、ただの報告さ。ボクの――ボクらの目的は間違いなく長期的なプロセスを必要とする。勝手に悪い知らせを持ってこないでくれ」
「……ごめんなさい」
「要は気にしてないってこったよ。で、良い方は?」
「竜堂尾道教授が、本格的にこちらのプロジェクトに入ることになりました」
「これかなり俺の手柄ですよせんぱァーい。寿司奢ってください寿司」
「あとで本人に奢ってもらえよ!」
「……とりあえず、以上……に、なります……」
「しっかしその羽邪魔じゃない?引っ込まないの?」
「……これは、私の背負った罪なので……」
「中二病患者?」
「いや俺に振らないでくれません?」
「だって君の同期?後輩?じゃんよ」
「えー俺がダブったので同期ですね」
「同期が中二病なのってどんな気持ち?」
「頭カラフルチビに言われたくないっすね~」
「カス」
「まあ……とりあえず、アレですよね」
「そうだね。ボク、千歳教授、そして君たち二人……で、怪異学専攻千歳研究室は完成したことになる。追加があれば随時B4以上D2未満としてこの研究室に配属される。君たちはM1、で合ってるね?」
「……はい」
「そうでーす」
「つまり公式に俺の茶しばき場ができたってことか~ヨッシャ!サボろう!」
「ウワッジジイ!!」
「ウワッ」
「……」
「何だお前ら全員揃ってその顔。というか西村はトイレに行った人を置いていかないで」
「いやだってあまりにも遅いから」
「迷った」
「連絡を入れてください」
「……ハイハイ!!ひとまずこれで揃ったんだ、本格始動に向けて情報をガンガン集めていくよ。《書き尽くす炎》の本領発揮だろ?」
「まーそっすね。ソース集めは大得意ですから。な~宮城野」
「……」
「……大丈夫かお前ら?」
「俺も何で組まされたのか正直わかってません」
――。