ハザマの刻。 ハヤミは一人だ。 けれどもイバラシティでの記憶は貴方と共にある。 泡沫の絵画の残像が 貴方の心、記憶、頭の中に。 |
――――そこに新しいキャンバスを置いた。ただし、液晶画面の中の。 するりと画面から溢れ出した“白紙”が、現実に透明なレイヤーを敷く。 今この瞬間、この場は紙面となった。作品となるべき空白となった。 ペン先で、虚空に線を描く。そうして形を得た魚が、ぬらりと宙を泳ぎ出す。 極彩色をぽつぽつと空に落とすように、存在しないものに命が与えられていく。 それがどういう光景か、どう感じるか。それさえも見る側の勝手な妄想だ。 ――――今、この場は架空と現実の狭間。 『IF』が、在りもしないものが、静かに現実を腐らせていく。 |
道端ガムマン 「いっぽんどうだ?中身は拾いもんだけどな。」 |
ヤンキー 「おめ、どこちゅーだ?」 |
《攻撃》――色褪せた現実と紙上の暴力 |
《器用》――妄想を継ぎ接ぎ、ありもしないものをかたちどった |
《活力》――欺は再び 立ち上がるちからを齎す |
《幸運》――知らしめよう 描き出せ 己はまだここにいる |
《幸運》――色彩との出会いという至上の幸運 |
《体力》――生命の息継ぎ、肉体に残された力を見付け出した |
《活力》――美は再び 立ち上がるちからを齎す |
《回復》――知らしめよう 描き出せ 己はまだ生きている |
ヤンキー 「埋めっぞコラッ!!」 |
道端ガムマン 「迂闊に触るとベタつくぜ?」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
すべては、名もなき虚構をあらしめるために。 なきものを、在るものへとすげ変えるために。 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
ヤンキー 「ジョーバンなめんなぁぁッ!!」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
道端ガムマン 「テンション上がる味だぜ。」 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
ヤンキー 「埋めっぞコラッ!!」 |
道端ガムマン 「迂闊に触るとベタつくぜ?」 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
――はっとした。脳裏で鮮やかに色づいた。アガタの絵画が! |
今頃、アガタは何をしているだろうか。こっちが必死こいて頑張ってるのに、 のんきに寝てたり遊んでたりしたらちょっとむかつくな……と思った。 |
ヤンキー 「うるあぁぁッ!!」 |
道端ガムマン 「テンション上がる味だぜ。」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
ヤンキー 「横に並べえぇぇッ!!!!」 |
咄嗟に黒塗りのキャンバスで防壁を打ち立てる。 |
道端ガムマン 「てめぇにはコイツがお似合いだ。」 |
異形の魚たちがするりとくぐり抜けていく。 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
ヤンキー 「うるあぁぁッ!!」 |
異形の魚たちがするりとくぐり抜けていく。 |
道端ガムマン 「迂闊に触るとベタつくぜ?」 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
『今さら変わらない』 『お前はずっとそのままだ』 |
《祝福》――ハヤミはばらの湯で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤンキー 「埋めっぞコラッ!!」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
道端ガムマン 「テンション上がる味だぜ。」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
ヤンキー 「横に並べえぇぇッ!!!!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
道端ガムマン 「迂闊に触るとベタつくぜ?」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
『どうしてあの子を生き返らせてくれないの?』 |
《祝福》――ハヤミはイバラシティの駅で見た アガタの展覧会の広告を思い出した。 |
一瞬、誰かが隣にいるような気がした。全部気のせいだった。 |
ヤンキー 「うるあぁぁッ!!」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
道端ガムマン 「迂闊に触るとベタつくぜ?」 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
《祝福》――ハヤミはアガタの画集を思い出した。 |
振り返る。誰もいない。 |
ヤンキー 「埋めっぞコラッ!!」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
道端ガムマン 「喰らいなッ!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
『薄情者』 |
《祝福》――ハヤミはばらの湯で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ヤンキー 「埋めっぞコラッ!!」 |
道端ガムマン 「てめぇにはコイツがお似合いだ。」 |
《祝福》――ハヤミはアガタの画集を思い出した。 |
ふと、イバラシティでの出来事を思い出す。 まだ真新しいはずのその記憶が、ひどく遠い昔のように思えた。 |
ヤンキー 「うるあぁぁッ!!」 |
道端ガムマン 「テンション上がる味だぜ。」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
『出て行け』 『ほら、一人じゃ生きていけないくせに』 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
ヤンキー 「あ゛あ゛ぁッ!!?」 |
道端ガムマン 「もっとガム食えよガム。」 |
道端ガムマン 「喰らいなッ!」 |
道端ガムマン 「テンション上がる味だぜ。」 |
砕け散った架空が地に落ちて消えた。 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
道端ガムマン 「てめぇにはコイツがお似合いだ。」 |
ベルナルディタ 「もっとちゃんと狙って。」 |
ハヤミ 「何で俺怒られてんの? 俺は描く役。お前たちが狙う役。オーケー?」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
道端ガムマン 「てめぇにはコイツがお似合いだ。」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
『薄情者』 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
道端ガムマン 「喰らいなッ!」 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
『出て行け』 『ほら、一人じゃ生きていけないくせに』 |
『描いていれば、いずれは絵を描くことが好きになってくる』 |
道端ガムマン 「てめぇにはコイツがお似合いだ。」 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
『絵を描く人は絵を描くのがだいすきだ』 |
道端ガムマン 「喰らいなッ!」 |
『そんな顔しないで』 『お前のためを思って言ってるの』 |
『お前の代わりはいくらでもいる』 『お前じゃなくても良かったんだよ』 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『死ぬまで死ぬほどお絵かきだ!』 |
道端ガムマン 「ベタつきが枯渇したか・・・・・」 |
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0 1 0 1 1 4 |
火 水 風 地 光 闇 |
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トントンと画面を叩き、異能で周囲一帯に敷きつめたレイヤーを片付ける。 未だ飛び回るIFの群れを一瞥して、ついてくるように手で指示をした。 …………全体のたった少し、数匹しかついてこない。 |
ハヤミ 「…………。」 ため息と共に、もう一度空を見上げる。行くあてなど、どこにもない。 星の光を追えば、そこに探し人はいるのだろうか。 やはり、Cross+Roseの表示がやたらと邪魔に思えた。 |