侵略。アンジニティ。


最近この街でよう聞くようになった言葉。
どっちも物騒で得体が知れへん。


おれも似たようなん夢で聞いたけど、夢なんか起きたらもう忘れてるんがいつものことやったから。
人から聞いた話で最近なってやっと思い出した。
思い出した、とか生易しい言い方してるけど
ほんまは鳥肌立つくらい鮮明に記憶がぶり返してきて、ちょっと怖いくらいやった。


そんな感じで、最近までは侵略云々への興味なんてほんまにその程度。
おれん中では忘れるくらいの優先順位やったのに、



――――　おれがその『侵略者』だったりしたら、それでも友達でいてくれるかい。



…そんな変なこと聞いてくる奴とかも居たりして、最近はその順位も否応無しに変わってきてる。


いや。ていうか。


アンジニティなんて居るわけないし。
ましてや身近な人間がアンジニティなんてそんなアホな話もっとない。
せやから猫背のあいつが振ってきた妙なたとえ話も、真面目に聞かんでよかった。

のに。

あん時のおれは、たぶん冗談として割り切れてなかった。




そんなん考え始めたら。

クリスマスのとき初めてちゃんと喋った、美味いマフィン作る後輩とか。

いつも弄り倒してくる癖に、なんやかんや世話焼いてくれるアパートの人らとか。

全力でアホなこと付き合ってくれる、眼鏡のあいつ。剣大好きなあいつ。胡散臭いあいつ。

…あと、勉強はできんのに肝心なとこちょいちょい抜けてるあいつ。とか。



・・・。














「　…あほらし。　」

―――――――――――――　　その瞬間まで、あとすこし。

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ハザマに生きるもの ナレハテ

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