［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「やあ、また会ったね」
　声をかけると、木の下にいる女性ははんなりと笑った。
　その女性とは以前にも何度か顔を合わせたが、彼女はいつも決まって夕暮れ時に、この村の北東側の出入り口にある古木の下に座っているのだった。
　私は行商を生業としている。自分の村の特産品を荷車に積んで隣町へ行き、金子と、あるいは隣村の特産品と交換で荷車の荷物を捌けさせ、代わりの荷物を積んだ荷車を引き引き隣村の隣村へと出発する。その繰り返しだ。日が高いうちに次の村へ着ければ商売になるが、村と村の間に距離があったり、道中が速やかにいかなければ今のように、夕間暮に紛れるように辿り着くこともあった。
　この村は鄙びた場所にあるので、どれだけ急いでも辿り着くのはこの時刻だ。
「お嬢さん、あんたは何でこの時間にこんな場所にいるんだい？」
　ここは寂しい土地だ。街道から引っ込んで、まるで隠れるかのように集落を形成している。だから、どれだけ急いでも夕方過ぎの時刻にしか辿り着けない。辺鄙な場所だから家々の灯りも乏しくて、日が沈みかけているこの時刻で既に、女性の腰から下は見えなかった。
「夕ご飯にしようかと思ったんよ」
　この地方独特の、訛の強い口調で女性は言った。田舎言葉と嫌われるそれは、この女性の喉から発されるとどういうわけか、艶めいた音を纏っているかのように聞こえた。
「今から村の外に出るのかい？」
　言ってから、そんなことはあり得ないと思い直した。ここは宿屋すらないような過疎地だ。私だって本当はこんなところまで来たくないのだが、日用品を持ってきてくれる行商人が来なければ死んでしまうと村長に泣きつかれたことと、この村でしか取れない植物から煎じられるという薬が他の街や村に持ち込むと破格の値段になるので、しょうことなしに訪れているのだ。
　この時間から行ける範囲の村の外に、夕食を食べられる場所があるはずない。
「ちゃうちゃう。おじさんが来るて、わかっとったから」
　女性は口の端を小粋につり上げて微笑むと、私の肩に両手を絡めた。
　着物に香をたきしめているのだろうか。強い花の香りが私を包んだ。その香りのせいか、まるで全身の血が沸騰したかのような感覚を覚え、私はふらつく頭をおさえた。
「ウチなあ、花が咲くとこ見るんが好きなんよ。赤い花がいちばん好きや。きれいで」
　女性の双眸が四つに見えるくらいに、私は香りに酔わされていた。
　甘い甘い花の香。女性の両手が私を抱きしめ、旅の垢にまみれた作業着に枯れ枝のような鋭い爪が絡みつく。動悸がひどく、まるで心臓が耳元で鳴っているようだった。閉じた瞼の裏が真っ赤に染まる。
「あんた、何、を……」
「ああ、もうすぐ『咲く』わ」
　綺麗やなあ……と呟く声を聞いたのを最後に、私は身体の不調から解放され、眠るように意識を手放した。
　後に訪れたのは、静かで優しい夜だった。


＝＝＝＝＝


　その村の古木にはあやかしが住み着いているという。
　上半身は咲き初めの花の如き色香を纏った麗しの女性。下半身は、年を経てひび割れ乾ききった古木のそれ。
　あやかしは花を愛していた。人に取り憑き、鼓動を早め、昇った血に堪えられなくなって爆ぜた頭を「赤い花」と呼び、その花が咲く様子を殊の外愛した。
　いつしか彼女は血を咲かせる怪異……『血咲』と呼ばれるようになった。
　血咲はただ自分の好きな花を愛でているだけなのだが、彼女によって咲かされる人間にしてみればたまったものではない。
　人々は結託し、最終的にひとりの若者の犠牲と引き換えにして血咲を《否定の世界》アンジニティへと追放することに成功したのだった……。

特に何もしませんでした。

チサ(1346) は 不思議な食材 を入手！

自然LV を 20 UP！（LV0⇒20、-20CP）
武器LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
装飾LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
付加LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）

ItemNo.4 不思議な牙 から射程3の武器『象牙の櫛』を作製しました！
　⇒ 象牙の櫛／武器：強さ15／［効果1］攻撃10 ［効果2］－ ［効果3］－【射程3】／特殊アイテム


イーレ(981) とカードを交換しました！

お試し回復 （ヒール）


ストーンブラスト を習得！
クラック を習得！

次元タクシーに乗り『チナミ区 E-5：出発地』に転送されました！

チナミ区 F-5（道路）に移動！（体調30⇒29）
チナミ区 G-5（草原）に移動！（体調29⇒28）
チナミ区 H-5（草原）に移動！（体調28⇒27）
チナミ区 I-5（道路）に移動！（体調27⇒26）
チナミ区 J-5（道路）に移動！（体調26⇒25）

―― ハザマ時間が紡がれる。









チャットで時間が伝えられる。






エディアンの前に１台のタクシーが止まり、窓が開く。









帽子を少し頭から離し、ほんのちょっと頭を下げる。






窓が閉められ、タクシーが走り去っていく。






エディアンからのチャットが閉じられる――