死んだ子の歳を数えようと思う。
なにやら理不尽にも侵略を受け、理不尽にも我々がそれを押し止める防人として自ら立ち向かわねばならんらしい。
それはまあ、別にいい。いや、良くはないし俺自身目下のところ成すべきことが他にあるわけなのだが―――
問題はこの「日記」とやらだ。
誰が見るのか知らないしあまり興味もないが、書かされる以上は誰かが見るしつまり何かを期待しているのだろう?
期待をされたら裏切りたくなるのが人の常というものだが。コレが難しい。
何しろ相手の期待が那辺にあるやら知れん。
そこで、だ。何よりも役体のない事をしようと思い至ったわけだ。
無論俺には子供なんていないが―――
人間、生きていれば失うもの、悲しむべき別離の経験ぐらいはあるものだ。
そう。
今はもう失われた、
サービス終了したDMMエロブラゲーの話を始めよう。
さて、となれば当然、俺が最初に挙げるべきタイトルは一つ。
「迷宮探索ドラゴンプリンセス」をおいて他にはないだろう。
良いゲームだった。間違いなく良いゲームだった。
明らかに唐突なサービス終了で現場に混乱が見られたが、
(実装予定だった新要素用のキャラが直前あたりに顔出しをしていたなど)
にもかかわらずああも綺麗にシナリオをまとめ、鮮やかな引き際を見せたゲームは今のところまだ知らない。
それまでに敷かれたいくつもの伏線、
王家の不審な動きや多大な影響が残る割に実態のつかめない「先代のドラゴンプリンセス」、
敵であるマガモノとは何か、その目的、といったものをことごとく回収し、
全ての決着を完璧につけてみせ、
なによりその間シナリオのノリと勢いを全く失うことなくプレイヤーの腹筋にいいのをくれてくる。
大団円の後は主人公とヒロイン、そして多数のサブキャラクター達のその後を描いて
あの世界が先へ進んでゆく姿を浮かび上がらせる、それは暖かい終末だった。
そう、サブキャラクターの話はしなくてはならないな。
このゲームはガチャとレア度のゲームにしては本当に珍しく、
古いキャラや低レアのキャラがシナリオ上の出番を失うことのないゲームだった。
もちろん、ガチャゲーの宿命としてキャラが増え続けるために影の薄いキャラは出るのだが
NのキャラもURのきゃらも平等に、かつ無理やりでなくキャラが立っていたのは特筆に値するだろう。
ガチャゲーの宿命とされるインフレも極めて穏当な部類で、
最初期に実装されたイベント報酬のキャラが居れば最後まで周回に苦労することはなかった。
無課金にも非常に優しい仕様である。
まあ、ランキングに限定の特攻にで絞ってはくるのだがそれはそれ。
どちらも無理をしなければ問題なく、どこぞのゲームのように限凸しないと好感度イベントが開放されないとかいうことはないし
ランキング報酬は一枚なら余裕、収集イベントは無課金で完凸も無理なく可能であるから
大半のプレイヤーは納得の上で付き合って行けていたと思う。
とまあ本当に、隙がなく良いゲームだった。
Pの交代後の追加要素が蛇足感が強く求心力が落ちてはいたが、
イベントシナリオは相変わらずキレッキレだったし
まだまだ十分やれたのでは、といつも残念に思い返される。
というかなんだ。ヒロインのあだ名が「デブさん」で未だに通るからな元ユーザーには。
もうホントシナリオのノリが素晴らしいというか
単に勢いだけじゃなくちゃんと設定を敷き過程を考えた上で剛速球の暴投をかましてくるというか
ラストシナリオでヒロインの精神に寄生したラスボスが
ヒロインを実質、人質にとった上でその記憶を活用して主人公たちにガンメタ張ってくるという危機的状況を
ヒロイン自らによる妄想黒歴史日記の朗読という自爆技によって打ち倒すとか何食ってたらこんな展開出てくるんだよマジで。
ちなみにヒロイン割と粗忽なキャラで何度も自爆で偉い恥かいててまだ耐性あるから致命傷で済んだ。という伏線である。
と、こうしてきれいに終わったドラゴンプリンセスだが、
もちろんこれは前々からいつか終わるときを考え、準備していたからだ。
断言できるには理由があって、最終イベント完遂時のヒロインとのエッチシーンが、
絵柄の古さから一年ほど前にはすでに描かれていたとバレたのだ。
いやまったく、変な方向でネタに事欠かないゲームだ、
ともかく個人的な好みの問題が大きい話ではあるが、
やはり、設定がしっかり考えられており、終わりの形がある程度構想にあるというのは正解だろう。
もちろん、ある程度話が進まなければ伏線を張り終えることもできないわけで、
「(´・ω・`)ヴァー」
とか言って終わる羽目になることもあるかもしれないが……
適当に設定というか話だけ積んだ挙げ句最後は放置して終了、なんてのは本当に勘弁願いたい。
何しろ俺たちは時間を無駄にするためにゲームをしているわけだが、
別に時間をドブに投げ捨てているつもりはないんだ。
ところでいつまで待っても家にずだ袋持った幼女が訪ねてこないんだが。どこで迷ってるのか。
と、まあとりとめもなく綴ってきたが今日のところはこのへんまでだ。
今回は素晴らしいゲームの話だったが、もちろん悲しみしか残さなかったようなゲームだってあるし、
そういう話もしたいというか吐き出したいのでするぞ。
いずれ姫銃の話もするからな。覚悟しておけ。