「図解 剣闘士？ ふーん……」
毒殺された野盗のかばんから、スライムたちが本を持ってきた。
グミはパラパラと流し見て、そっと閉じる。

「いや、あんた達は私の教えがあれば十分でしょ。」
ポイッと放りなげた本を、こころなしかスライムたちが物惜しげに見つめていた──。


村跡には宿こそないものの、いくつか露店が開かれている。
(こんな野盗だらけのところで商売を？ ぼったくられないようにしないと……あっ、このチョーカーきれい！)
光の首輪を衝動買しつつ、地図を見ながら次の目的地を決めた。

「人の多いところなら、あんた達も売れるかもしれないし北東にある首都を目指すわよ。 ただ……」
首都の下に広がる森林地帯に目をやる。
「東のエンクローズ森林には何かがいるらしいわね。 入った者は誰ひとりとして帰ってこれないんだとか……」
スライムたちに緊張が走った。
「腕自慢の勇者が何人もやられたらしいし、つい先日も旅人がひとり犠牲になっている。 そんなの無視できない……！ だから」
すっと北を指す。
「迂回するわ！」