道を光が照らし、それぞれの物語がある。
　誰もが今日明日の人生を信じているのだから、
　僕らは今日という日を新たに始めなければならない。
　新しい色を重ねていくんだ。


　馬鹿野郎この野郎！！
　俺は故郷の日照みてぇな熱っいのは大っ嫌いなんだ！！！

　何とか野獣も魔族も追い払えたが、皆してヘトヘトだ。
　おまけにカヴネルの様子もおかしい。

　一度休憩した際、カヴネルやハルシオンに空気中の水分を冷やして作った氷をあげよう。
　そろそろ魔力石が切れそうだったところに、奪った赤い魔石を思い出した。恐らく、これも同じような使い方が出来るだろうか。

　……内に“ある”魔力は常に感じている。なのに、その全てを使うことは叶わない。
　魔力石を補助として、少しの魔法で今は限界だ。
　上品に言えばもどかしく、乱暴に言えば鬱陶しい。

　もう数年も経ったんだから、諦めがつけばいいのに。
　けれども例えば、今だってこの二人を救える術が使えたはずなんだ。
　すぐそこに力があるというのを知っているから、幻想を手放せないでいる。

「何で俺を見放したんだ、クソ女神」

　夜の見張り、二人が寝ているなかで俺は鬱憤晴らしに呟いた。
　月に向かって。