さてと。
『思惑通り』っていうのもなんだけど、少なくとも此処に来た理由のひとつはうまくいったかな。
‥問題はまだまだたくさん残ってるけど。

どうしてあるがままの『己れ』だとあそこに行くことはできなくて。
ここの『俺』だと、渡る事ができたのか――

想像は付くがそれはそれで大問題だ。
まあ、それを超えるのは結局の処はあの雛たちでしか成し得ないことだ。
どのみち『己れ』としての会話はあそこではできないのだ。
しっかり傍観者を気取っていこう。

それはそれとしても。

パーティを改めて組むにあたりこなすことになった依頼で少し、面白い発見をした。
いや、発見というのは少し違うかな。厳密にいえばそういうカオに当たってしまったというところかな。
錆びてダメになったものを、それでも矯めつ眇めつする様子。
使えそうな一品を、輝いた顔で拾い上げて、それを打ち直す様子。
そしてその結果が今、俺の手の中でずしりとした存在感を放っている。
鍛冶、か。
身体を鍛えるつもりでこっちに来たのだし、鉄を打ったりするのはそれはそれでアリな気がする。
まあ、『そういうつもりで』入ってきたワケではないから、すこし軌道の修正はしなくちゃいけないだろうが。

‥‥ずしりとした存在感が再び腕を襲う。
正直今の俺にはちょっと重すぎる気はするが、品は悪くない。
『仲間』の、斧を使う方に渡してしまうかな。