「ひゃっ！？」ドサッ

私が学校から帰ってると、急に足場が無くなって尻もちをついてしまった。
慌てて周囲を見渡す。

（見知らぬ人たち。見慣れない風景。地面に落ちたアイスクリーム……って、あーっ！まだ、まだ3口しか食べてないのに！）
「……ねーちゃんどっから現れた！？」

もう手元には戻ってこないアイスを嘆いていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、片足が変になっちゃってる……人間？が手を差し伸べてくれていた。

「っていうか大丈夫か？凄い…音がしたけど？立てるか？」
「あ、うん。ありがと……よい、しょっと」

手を借りて立ち上がると、彼は自己紹介をしてくれた。こちらも名を名乗り、事情を説明する。
といっても、ここがどこなのか全くわからない、ということしか言えなかったのだが。

（これは拉致されただけで、私は迷子じゃないから）
そんなくだらない釈明を自分にしつつ、目の前の人間から情報を聞き出す。
どうやら彼――デュオ・リストはこの世界で生まれた元人間で、既に死んでいるらしい。
今は幽霊で、彼が言うことには地縛霊の類らしい。
地縛霊が何故縛られた土地から離れているのか尋ねたが、よくわからないらしいので信憑性はない。

更にこの場所について話を聞いてみる。
結果、この世界は元いた場所とは違う世界なのではないかという結論に至った。
場所についての固有名詞、文明度、服装から言ってこれは間違いないだろう。
（私の居た世界で何らかの理由で未発見扱いの大陸という可能性もなくはないけど……）

しばらく話をしていると、彼は唐突に私に向かってこう言った。

「まあ、おれは一応この世界出身だからな！記憶が抜け落ちちゃってるから案内はあんまりできないけど、なんもわかんないよりマシでしょ！一緒に来る？」

（子どもみたいだけど、それだけに騙される可能性は、低……
下手に動くより安全……ここは乗るべき？
考えるの、カリン。貴女は考えなしのギャルなんかじゃない。有能なJKなのよ。
幽霊、接触可、盾、既に死んでる、周囲、ごろつき、汚い、手元、武器、石ころ、カバン、勝てない、仲間、必要…………）

私は笑顔を浮かべてこう答えた。
「そ、ね。お願いしちゃおっと。現役女子高校カリン・トウドウ、アンタの仲間になったげる！」

武器は拾った石ころ、お供にお子様幽霊、頼れるものは他になし。
私の初の異世界旅行はこうやって始まったってわけ！