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【決着】 ふらふらと立ちあがるフルプレートの少女。 「……当たらないものね、難しいわ」 仕掛けた斬撃を防がれた、 黒いロングスカートの女性がつぶやく。 こんな時に限って、その服についている 身内引取用のタグが目に留まる。 ……不吉な予感しかしない。 第30話 エトランジェ・襲撃(後編) そう、その後も、黒猫の猛威は続く。 互いに互いをかばい合うかのように 立ち回ったからなのだろうか 幸いにして、致命傷を受けたものは一人もいない。 だが、その猛攻が、私たちの体力を そして精神力を確実にそぎ落としているのは事実だった。 そして、そのせいで私たちの攻撃が ただの一発も彼に届いていないことも……。 辺りの地面には、標的を外した矢が突き立っていた。 何発目の矢を外されたときだろうか。 次の一矢をつがえるために私は そっと、矢筒に手を添え、そして気づく。 「……皆さん、困ったことがあります。」 はっとする男装の少女に続ける。 「矢があと、三本しか残っていません。」 なんだそんなことか そう返してきたのは男装の少女ではない。 盗賊風の男のほう。 「俺の弾もそんな感じだ、残って2発。」 拳銃をひらひらと見せびらかしながら言ってくる。 そう、攻撃のチャンスは限られている。 それを外したら私たちに残されているのは無抵抗な死しかない。 こんな小さな、十数センチもしない黒猫に……。 ……いや、十数センチ? はた、と気付いた私は今度は盗賊風の男に声をかける。 「最後の手を思いつきました。 私が弓を撃ったら……全部の弾を撃ち込んでください。」 「何を考えてるんだか分からねぇ。」 そう返してくる男。 「だが、やるしかねぇな、失敗したら恨むぜ!」 「構いません……恨んでくれても。」 何を無駄な相談を、不気味な重い声が、死神の声が辺りに響く。 「ええ、貴方を倒す妙案を。」 返す私に嘲笑する黒猫……さらにその声に驚く周囲の仲間たち。 「……これで終わりです!」 く、っと弓に矢をつがえ、黒猫の周囲の空間を捉える私。 「一本の矢でも当てられない者が……三本だと?」 そう、その数は三本。 今の私の全ての矢。 ひょう、と放つその矢とともに、隣にいた男のほうから響く銃声、だが…… 「無駄だと言っているのが分からんのか!」 それらの互いを補いあい、競い合うかのごとく 飛んでいく矢弾は全て、寸前で回避され あるいはその『影』にかき消される。 むなしく周囲の地面に突き刺さる鏑矢 周囲から聞こえてくる失意の声。 だが……。 「この戦い、私の勝ちです!」 そう叫び、弓を捨てて一気に間合いを詰める私。 そう、これは想定内。 『本命』はこちら……肉弾攻撃。 私の意図に気づいたのだろう、黒猫が回避の構えを取る。 だが……彼の周りを取り巻くのは 彼の身長ほどもある高さの鏑矢の森。 はっと硬直する黒猫の前に 闇色の衝撃波が収束する……。 だが、私の蹴りが若干早い! 吹き飛び、倒れる黒猫を生き残った仲間たちが一斉に取り囲む。 避ける隙間もないほど堅く。 それでもふしゃぁ、と抵抗の構えを見せる黒猫を リーゼントの男の睨みが制し……。 「……まだ戦える。」 黒いロングスカートの女性は 刀を高く高く掲げ、肩に担ぐような構えを取る……。 そして、そこから打ち下ろされた雲耀の一刀。 その斬撃音が辺りに響く。 「良かった…生きて戻れた…」 フルプレートの少女が、エトランゼの末路を見てつぶやく。 そう、私たちが死神に打ち勝った 私たちが死神を超えた決着の一瞬だった。 【序曲】 数刻の後、私たち生き残った偵察部隊は陣地に帰還していた。 そして、一人づつ順番に呼び出された本陣のテントの中で。 「運が良かったわね。」 銀髪の少女、『召喚士』が私に微笑みかける。 「エトランジェと交戦して、生きて帰るなんて……。」 召喚士の少女の元にも噂は伝えられていたのだろう。 いや、噂だけではない、もっと具体的な情報か。 ならば、何故兵士たちに知らせてはくれなかったのだろう? エトランジェが実在する、ということを。 もし、知っていたら死ななかったはずだ。 黒猫と誤認し、エトランジェを拾い上げた女兵士。 一瞬、私の脳裏に怒りにも似た感情が浮かび上がる。 が、彼女の悲しそうな眼は そんな私の心を見透かしそして続けた。 「みんながパニックになるのが怖かったから。」 下を向いてつぶやく彼女。 はっとする私。 そう、この戦いは一人二人の戦いではない。 数百人が共闘する戦争なのだ。 確かに、士気に関わる行為はなるべく慎むべきかもしれない。 それが、上に立つものの勤めなのだろう。 「でも、さすがに隠しきれなくなってきたわ。 それに草原の戦いから今まで 相当な数の兵士たちが命を落としてきてる。 エトランジェの存在、みんなに公表するつもりで居るわ。 明日にでもね。」 ありがとう御座います 一礼して召喚士の少女のテントを後にしようとした私。 背後から彼女の声。 「今回の給料には特別ボーナスも上乗せしておくわね。」 「え?でも……肝心の偵察任務のほうは何も。」 「貴方の部隊はエトランジェの被害を最小限に食い止めた。」 そう、そう言われればそうなるのか。 「倒したんですね……私が、私たちが。」 「ええ、でも油断しないで。」 すくっと椅子から立ち上がり続ける召喚士の少女。 「草原での戦いで、同時刻に複数の部隊が急速に壊滅した。 ええ、エトランジェ……と思われるわ。 これが何を意味しているのか、貴方には分かるかしら?」 現在存在しているエトランジェは……あの一匹だけではない。 複数が存在し、戦線に投入されているということ? 考えるのもおぞましい想像を口にした私に彼女は頷く。 「気をつけてね、いつ貴方の前に 第二第三のエトランジェが……。」 エトランジェ、それは魔女にとって 将来災厄となり得る存在を選定し あらかじめ抹消しておくために生み出された刺客。 来るべき最終決戦に備えて。 そう、その脅威は終わったわけではない まだ始まったばかりなのだ。 To Be Continued |
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今回の滞在 | ||||||
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Message(Personal) | ||||||||||||||||||
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Message(Linkage) | ||
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召喚士におねがい | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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不要アイテム引き取り | ||||||||
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レベルアップしました(EXP-160)
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攻略の時間になりました!! | ||||||||
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