棺桶と少女の一週間

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Diary

『喝采せよ、諸君。喜劇は終わった』
 壇上では白い貫頭衣を着た男が芝居じみた台詞を語っていた。既に初老と呼んでいい年齢であったが荘厳な楽曲に合わせた取っている大仰な動作は肉体の衰えを感じさせない激しいものだ。張りのあるバリトンは講堂の隅まで響き渡り、聴衆を儀式へと誘っていく。
『喝采せよ、諸君! 喜劇は終わった!』
『おお……』
 老人は青空のように爽やかな表情で口上を述べる。一片の迷いも見られない澄み切った老人の声。その晴れやかさが人々から戸惑いを消し、徐々にその口を開かせていく。鎮痛で重苦しかった空気に暗く濁った熱が混じり、零れ出た歓声が老人の歌声と唱和する。
『ああ、諸君。そんな調べでは駄目なのだ……声を合わせてもっと美しく歌おうではないか!?』
『喝采せよ、諸君! 喜劇は終わった!』
 誰かが歌えば他の誰かが。その誰かに呼応してまた他の誰かが声を上げていく。老人の文句は熱病のように伝染していった。そう、己らは何も悪くない。おぞましき病を振り撒いた悪魔は裁きの剣で貫かれた。聖者が魔を討ち滅ぼす喜劇は此処に終わったのだ。歓びを歌い、宴とすることに何の問題があるだろうか……?
『喝采せよ、諸君! 喝采せよ!』
『喝采せよ! 喝采せよ!』
 人々は何かから逃れるように叫び続ける。彼らの視線は全て壇上の老人へ注がれている。その背後に恭しく置かれた棺桶には――――その中で眠る心臓を貫かれた少女だったものには見向きもしない。少女がつい先日までは自分達の仲間だったことも、病に冒された人々を賢明に看病していたことも忘れている。ただ熱狂の坩堝に身を投げ出し、理性を焼きながら歌い続ける。
『喝采せよ! 喝采せよ!』
『喝采せよ! 喝采せよ!』
 故に彼らは気付かない。『英雄』が歌声に誘われてきたことに気付かない。棺桶の中で横たわっていた死体が胸から短剣を引き抜き、立ち上がろうとしていることに気付かない。

 気付かない。
 気付かない。
 気付かない。
 気付かない。





 ――――ごとり。


『は……?』
 気付いた。


 この時、老人は振り向くべきではなかった。音について考察し、その正体へ心の中で備えておくべきだった。たとえ、それがありえない空想であり、平時では一笑に付す類の代物であったとしても可能性の一つとして考慮しておくべきだったのだ。しかしながら彼は儀式の中に乱入した異音へ反射的に振り向いてしまい……。

 ――――ありえない怪物を見てしまった。

『う――――ひ……あぁぁぁぁぁぁああああああ!!!???』

 意味を持たない……だが、どんな言葉よりも明確に意志を伝える絶叫が響き渡る。その叫びは我を忘れていた人々の心をも貫き、狂気の炎を吹き消していく。
『あ、う……嘘だ。はは、は……はひぃぃぃぃぃッ!!!???』
『う、わああぁぁぁぁぁぁッッッ!?』
 灯火を失った空虚に恐怖の風が吹き荒ぶ。いみじくも彼らが叫ぶ通り、喜劇は終わった。ここから始まるのは掛け値なしのB級ホラーだ。死霊が歌い、死体が踊るチープな筋書き。悪を斃すヒーローもいなければ可憐なヒロインもいない。それどころか観客さえも一切なしの最低映画だ。
 さあ、諸君。喜劇は終わりだ。ありきたりの結末を約束された乱痴気騒ぎの始まりだ。

 喝采せよ! 喝采せよ!


                    ――――とある少女の壮麗な葬礼

今回の滞在

戦場アナ
「今回の攻略拠点は「召喚の御座-混沌の神殿」ですね」
召喚士
「時間になったら集まるのよ」
  • 召喚の御座-召喚の魔方陣に滞在します。

メッセージ(パーソナル)

取引メイ
「……こんばんは。メッセンジャーサービスです」
取引メイ
「……11件のメールが届いております」
E-No126 石楠花からメッセージが届きました。
石楠花
「……無闇矢鱈に家具を投げないでくれないか。
家具が痛むし、そも此方の方が余程騒音が酷いのではないだろうか」
石楠花
「彼の楼閣は天帝君が文人か書家のみを迎え入れるため建造した地。
すまないが、君が白玉楼に逝ける人物だったかと問われれば、否と答えざるを得ないな。
……或いは俗世と乖離した独特の感性を芸術とすれば資格が在るのやもしれないが、
鬼才李賀君に対して大変な無礼を働いている気がしてならない。
此処は親不孝者の吹き溜まり、賽の河原辺りで納得しては貰えないかな」
石楠花
「早まるのは止めてよく顔を思い出してみたまえ、死体人形の君。
君ほどの若さならば追い付いたのは他の何者だったのではないか。
老人趣味の私が幼子に手を下す道理はないだろう?」
石楠花
「……と弁明しても、聞く耳を持たないのが死体人形の君なのだろうな。
張り付くのは自由だが、いずれ元の鞘に収まる身は同じこと。
遅牛も淀、早牛も淀。全くに哀れなものだね、私も君も」
E-No152 ヘロドからメッセージが届きました。
ヘロド
「……」
飲みかけていた皮の水筒を空中で止めて、少女のほうをじっと見返した。
少しの沈黙。
ヘロド
「よ、アンシャーリーくん。ヘロドです。『神殿』の攻略戦ではお世話さまだね、どうも。
 いい大人が揃って、幻創殺しの切り札はきみら後衛なんだから、笑えないけど。
 しかし、元気な依代だな。中の魂のきみは不便じゃないかね」
ヘロド
「……すげえな、この紙。厚紙という言葉はあるけど、熱紙ははじめてだ。
 悪いけど、おれにはとても書けそうにないよ。火傷するから。いや、しないにしても、おさえてられない。
 紙に書くときにはさ、手で、紙を押さえるだろう? こう。右手を重しにしつつ、左手も置いて。そうしないと、紙のやわらかさが筆を拒んで、文字を紙に、刻めない。
 紙の機能はいろいろあるけれど、今このとき、きみの要求の限りにおいては、書かれるところの場だ。
 とすれば、書かれることを拒むような紙は、紙としてちょいと機能不全だな」
ヘロド
「それとも、これはなにかの精神的なテストかい?
 書けるはずのない紙に、書けと言われてどうやって答えを出すか、とか」
ヘロド
「……と、考えると、きみの、食べてはいいかという問いかけにも、すこし用心深く入念に、答える必要があるのかな。
 さてこの場合の食べるとはなにを意味しているのか、そも、食べるとはなにごとなのか。
 きみの頼みをひとつ断った以上、これにはこたえてあげたいが、食べ『られる』というのはどうにもおれにある種の変質をもたらすことと、一般的な定義上、わかちがたくつながっている。すれば、そう軽々にこたえられることでもない。
 ……悪いなあ、その質問の答えは、保留にさせてもらえるか?
 食べてもいいものかどうか、答えが出たら、かならずきみに伝えるよ」
棺桶にはすこし首をかしげる。さて、先からなにか、聞こえるような気もするけれど。
どうも鈍い男だった。

メッセージ(リンケージ)

リンケージはありません

コンファイン

  • コンファインは行いませんでした。

マーケット

  • マーケットに参加しませんでした。

スキルセッティング

  • 牽制スキル「射撃武器で攻撃」の準備、問題ありません。
  • 本命スキル「射撃武器で攻撃」の準備、問題ありません。
  • 必殺スキル「射撃武器で攻撃」の準備、問題ありません。

アビリティセッティング

  • No1のアビリティ「間接スキル修練」は使用がOFFになっています。
  • No2のアビリティ「HITゲイン」は使用がONになっています。

アイテムセッティング

  • 主力装備アイテム「怨念?」の準備、問題ありません。
  • 補助装備アイテム「棺桶の蓋」の準備、問題ありません。
  • 身体装備アイテム「古びたドレス」の準備、問題ありません。
  • 装飾装備アイテム「十字架のネックレス」の準備、問題ありません。

スケジュール

  • 疲労しています。自動的に休憩が選択されます。
  • 1日目は休憩です。
    • HP188507に回復しました。
    • EXP05に!
  • 2日目はトレーニングです。
    • HP507456に!
    • EXP525に!
  • 3日目はトレーニングです。
    • HP456405に!
    • EXP2545に!
  • 4日目はトレーニングです。
    • HP405354に!
    • EXP4565に!
  • 5日目はトレーニングです。
    • HP354303に!
    • EXP6585に!
  • 6日目は休憩です。
    • HP303507に回復しました。
    • EXP8590に!

攻略の時間になりました!!

召喚士
「そろそろ時間よ。集まりなさい」
戦場アナ
「攻略ですよ攻略だよ攻略だぞ攻略に行くぞっヒョォォ!!」
召喚士
「……落ち着きなさい」