最近、█に引っ張り出される事が増えてきた、あまり宜しくない兆候だ。
“私”が表に何度も出てしまうと”子”がどうなるかは”私”にも検討がつかない。出来ることならこのまま██から外の様子を眺めているだけで良かったのだが。そうであれば良かったとどれだけ願ったかどうにもそれだけあの█の執念は凄まじかったようだ、どれだけ打ち消しても新月の影響で不調に陥り、結果アレが出てきてしまう。否、今は何をしてもアレが出てきてしまうのだろう。ならば、打ち消さなければどうなるか、試すまでも無い。ずっと眠ったままか不幸に巻き込まれて死あるのみだ。運がない…かと思いきや存外そうでもなかった。“私”が元々居た世界から流れて来てから出会った白虎の式神…先代の彼奴は面倒見の良い性格をしていたのだろう、得体の知れない異界から流れてきた”私”の面倒すら甲斐甲斐しく見てくれていた。同時に”私”が何者なのかも直ぐに見抜いてみせるがやはり猫だからか？そんな彼奴も子がまだ生を受ける前に子の母親を庇って斃れた、がすぐに今代が来るのは想定外だったな、先代も中々な性格をしていたが今代も中々な性格をしている、子にあれこれいらん事吹き込んでいるようだ。
今代は子と同じ日同じ時間に生まれたが恐らく先代が何か仕込んでいたのだろう、先代の記憶は引き継いではいなかったが力はそのまま、面影もそのままだ。唯一違うところと言えば先代はどこか人から距離を置いた場所で人の営みを俯瞰していたのを、今代は自分から人の中で生活し人に触れていこうとしている。人懐こいのかそれとも…どちらにせよ、今代が居るならば最悪の事態は免れる事も出来るかも知れん。…何れ███に戻ることになるだろうが