Secret Sphere
<<Week3
-WEEK4-

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Smart Diary
蟹
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 ギフトは、今日も料理をして生きていた。
 それは楽しいからというわけでもなく、誰かが作るよう求めているというわけでもなく、それが彼女に与えられた唯一の役割であり、彼女の存在価値だからであった。

 彼女は周囲から孤立した集落で、人間に奉仕する獣人として生まれ、そして彼女の家は代々料理人としての役割を持っていた。彼女に求められた役割はただそれだけで、彼女はそれだけを教育され、それだけを修行して生きてきた。ただ、彼女は不運なことに、あらゆる味を苦味に感じる、異常な味覚を持って生まれてきていた。味見、という行為の意味が彼女には理解できなかった。どう切っても、焼いても、煮ても、炒めても、冷やしても、結局できあがるのは口から放り出したくなるようなモノばかりだからだ。他の人たちが口にする、『おいしい』という言葉の意味を理解することができなかった。彼女が作った料理を食べて人たちはひどく不快そうな顔をして料理を吐き出して、怒った。それはそうだろう、と彼女は思いながら、罰としてやってくる暴力に耐えた。

 殴られたり、はたかれたり、蹴られたりしながら、彼女は自分と他の人が感じている味に違いがあるのかもしれない、と思い至るようになった。とにかくレシピどおりに作れば、他の人が『おいしい』と感じるものを作ることができるということにも気づいた。彼女はとにかくレシピを書き溜めて、それのとおりにつくることを目指した。調味料を具体的にいくら入れたらいいのかについても、料理仲間を無理やり捕まえて、こまかく味見させて、そうして決めていった。レシピの数は異常な速さで増えていった。しかし、結局のところ味が分からない彼女は、細かな味の調整もすることができず、レシピにない料理は手をつけることすらできない。その評価はどうしようもないほどだった。料理以外の家事を身に着けることで、自分に価値をつけようとしたこともあった。しかし、彼女に与えられた役割はあくまで料理人だけで、それ以外の技術は全く何の役にも立たなかった。

 彼女はレシピを書き溜め、実力を伸ばしていった。彼女以外の者はそれ以上の速度で実力を伸ばしていった。彼女の舌には最初から重い鎖が絡みついており、それを身に着けたままで競争しても他の者に追いつくことなどできなかった。
 彼女は12歳の日、不適格と判断され、集落追放の証として尻尾を切断され、そうして捨てられた。

 彼女の視線の先ではシチューがくつくつと音を立てて煮えている。塩を5.2グラム、胡椒を3グラム。いつの間にか、つかんだだけで正確な量を計れるようになって、計りは不要になった。一煮立ちしてから、ブロッコリーを入れて、白ワインとバター。
 できあがったのは、クリームシチューだ。寒い日には、温かい料理がいい。それくらいはわかっていた。においはいつもどおりで、スプーンで少し口に運ぶと、いつもどおり吐き出したくなる味だった。我慢して食材をかみ砕いて、我慢して飲み込む。沸かしていたお湯を飲むと、救われた気がした。『おいしい』という言葉は便利だ。具体的ではないのに、それだけでごまかすことができる。何か食べ物や飲み物をもらったときは、そう答えていれば相手は喜んでくれる。おいしいという言葉の意味は一度も感覚したことはないけれども、きっとそのもらった物は『おいしい』のだろうなあと思うし、このシチューも『おいしい』のだろう。

 二口目を運ぼうとして、スプーンが右手からするりと零れ落ちて、シチューの中へと沈んでいった。右手を開いて、閉じる。それを何度か繰り返す。手は少しずつ動かしにくくなっていた。皮膚が張ったようになって、手を握ることができにくくなっていた。だいぶ意識をしないと物を持つことができなくなっていた。それは両手ともだが、聞き手である右手の方が幾分かひどかった。力を入れて、意識して両手を握る。ギシギシときしむような感覚がした。まだ包丁は握れているが、やがては握れなくなるだろう。それよりも先に包丁の技術に影響が出る方が先だろうが。シチューの中からスプーンをすくい上げて、残りのシチューは捨ててしまった。お腹は空いているが、これ以上食べるつもりにはなれなかった。

Icon(私の体は、もう腐るんだろうなあ。)

 後片付けをしている間、彼女は昔に食事として出された腐りかけの桃を思い浮かべていた。
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パーティメッセージ
ワカメ
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メッセージはありません。
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メッセージ
ワカメ
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PNo.516  
からのメッセージ:
 これは、あなただけに聞こえる歌だ。
 どこかであなたをよんでいる。
 そんなふうに聞こえる、まどろんだ歌・・・

 終わりを伝える、つぎはぎの歌だった。
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青い鳥メッセージ
ヤドカリ
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メッセージはありません。
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参加コミュニティ
ワカメ
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コミュニティNo.236 ギフトの試食会場
で、0人の発言がありました。
コミュニティNo.93 初等部施設
で、0人の発言がありました。
コミュニティNo.198 料理研究会
で、0人の発言がありました。
コミュニティNo.213 いぬのお薬やさん
で、0人の発言がありました。
コミュニティNo.215 秘密基地の奥
で、0人の発言がありました。
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アイテム
くらげ
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ギフトは薬草ティーセット~季節のお菓子付き~ を食べた。

複数の薬草をブレンドした魔法学園オリジナルティーと、
季節のお菓子が付いたティーセット。

運命力が増加した!
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魔法学園の声
ワカメ
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Icon
メリーナ先生
「あら? あら~?
 あらあら、あ~ら~??」

Icon
ミラージュ先生
「あらメリーナ先生、きょろきょろして何しているの?」

Icon
メリーナ先生
「あ~ら~、ミラージュ先生~
 それが~、ちょっと探し物をしていて~……」

Icon
メリーナ先生
「初等科の方の~、教室に行こうと思っていたんですけれど~、
 途中でハッと思い出しまして~……」

Icon
ミラージュ先生
「ふーん……この辺で落としたか何かしたのかしら?」

Icon
メリーナ先生
「そうなんです~~……
 ミラージュ先生~、もしかして~、お手伝いしてくれるんですか~?
 嬉しいです~~~」

Icon
ミラージュ先生
「まだ別に手伝うとは言ってないわよ……

 で、結局何を探してるワケ?」

Icon
メリーナ先生
「ええとぉ~それはですねぇ~…………」

Icon
メリーナ先生
「…………?
 あら~……? 何だったかしら~?」

Icon
ミラージュ先生
「……アンタねえ……」

Icon
ミラージュ先生
「……ていうか、そもそもこっちは大学部の教室の方よ?
 初等部は向こうでしょ?」

Icon
メリーナ先生
「えっ……
 ……あら~、ホントですねぇ~! 
 私ったらうっかり間違えて~……」

Icon
ミラージュ先生
「……アンタ、よく今まで生きて来られたわねぇ……
 ある意味感心するわ……」
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探索
ワカメ
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探索中. . .
ギフトはSCを230、TPを13手に入れた。
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風紀戦闘
ワカメ
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魔法学園の生徒魔法学園の生徒
PNo.354 ギフトPNo.791 秩序ロボ
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訓練
ワカメ
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訓練を1回選択!
ギフトは運命力が11増加した。
ギフトは運命力が12増加した。
ギフトは運命力が12増加した。
ギフトは運命力が12増加した。
ギフトは運命力が13増加した。

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海老
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目的の決定
ワカメ
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次回予告
ワカメ
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