後期学園生活 4日目
基本行動宣言 成功 その他の設定 成功
Diary
茶色い地面の上に緑色の柱が壁のように立ち並び視界を塞いでいる。茎を折らぬよう、葉を落とさぬよう気をつけながら緑をかき分けていく。葉に体を撫でられ、翅で茎を撫で返す。体を右に左に傾けながら、緑の迷路をひたすらに飛び進む。幾百もの緑の中、真正面にある一本へ真っ直ぐ向っていく。触覚が茎に触れ、頭部から激突してしまう寸前、身体を縦方向へと直角に持ち上げ、迷路を覆う天井へと加速していき、数瞬もしないうちにそれを突き破った。
ぱっと、黄色くやや曲線的な花びらを数枚飛び散らせながら、空中へと身を躍らす。大輪の菊の花。もうそんな季節かと思いながら、周囲を見遣る。眼下に広がるのはもはや“色”とだけしか表現できない光景だ。見渡す限り端から端まであますことなく大地が彩色されている。ある箇所では同じ花が群生してその色を強調し、ある箇所では様々な花が入りみだり別の新たな色を表現している。ある花は人一人を隠しかないほどに大きく咲き誇り、ある花は虫を隠す程度に慎ましく密やかに咲いている。ほんの少しだけ地肌の茶色が露出している部分が、この花畑を通行する際の道というわけだろう。ほとんど花に侵食されていて、花畑の中を行くのと変わらない様子である。私のように身が小さかったり、飛べたりする者ならそんな苦労はせずに済むのだが。大は小を兼ねるというのは真理ではないのだな、などとしみじみ思った。
高度を下げていき、一本の花の上に降りる。八枚の薄い桃色とそれに囲まれた黄色、秋桜だ。秋の代表的な花ではあるが、早いものなら夏の頃から咲き始めている。そこから辺りを見れば、少し離れたところで女郎花がその盛りを終えようとしていた。咲き始める時期は秋桜と同じぐらいだが、女郎花の方が咲き終わるのは早く、もう既にその時期を迎えている。落花も、また風情がある。
既に咲いていたもの、今から咲くもの、もう咲ききったもの。ここに広がるのは実に壮観な、美しい情景だと思う。仮にも虫を模した身であるから、花には感慨深いものがある。本物の蜂のように蜜を集めたりするわけでもなく、かといって生きるために必要なわけでもないが、時たま嗜好品としてその甘露を啜ることもあるのだ。また、香りを嗅ぐのも好きだ。揺らぐ風と共に運ばれる匂いは身体に活力と軽快さをもたらしてくれる。当然、花の見目麗しさも欠くことはできない。彼らのおかげで季節によって世界は姿を変えていく。その様は毎年非常に楽しく見ている。そして、今日のように天気の良い日にこうして花の上で眠るのは格別だ。マイケルとの戦闘で負った傷は思ったほど深くはなかったが、少しは休んだ方がいいだろう。特にやることもないのだから、無理する必要もない。
落ちたりしないよう脚で花にしっかりと掴み、私は陽光の暖かさと無数の色の中、眠りにまどろんでいった。
数十分の後、目を覚ました私は今後のことを考えていた。とはいっても、何を考えればいいのかがさっぱりである。恐らく、以前のあの馬鹿でかい声の内容を聞いていれば今の状況について色々と判別を持てたのだろうが、ほとんど無視していたのでどうにもならない。精々がこれから先もマイケルと同じように何者かと戦うことになる、ということだけだ。それがマイケルのように学園側が用意したものであるのか、それともそれ以外なのかすらわからない。そもそも、戦って何をしようというのだろうか。これが学園という組織内で行われているものだとすれば、目的は学園所属者の戦闘能力上昇かもしれない。それにしては少し大々的過ぎるような気がするが、まあ、人間のすることを妖怪が解するものでもないか。同種の他者でさえ理解するのは苦労を要するというのに、異種の他者では尚更だ。
さて、そうなるとただひたすらに島全体を使って戦闘を繰り返すだけなのだろうか。間違ってはいないようだが、道すがら見かける学園所属者には何かしら別の目的があるようにも感じた。戦闘を行うということは、そこには勝敗が生まれる。長期的にそれを繰り返していけば、そのうち唯一の勝利者が決まることになる。もしかしたら、その者には何か賞品が与えられるのかもしれない。ならば、ここまで大規模にやるのも頷ける。よほど重要な物がかかっているに違いない。
ああ、しかし、仮定形でしか話せないのが口惜しい。そこらへんをうろついている者にでも話を聞けば、これらの推測にも確証を持てるのだが、そう簡単にできることでもない。突然襲われる可能性もなきにしもあらず、なのだ。そうそう迂闊な行動は取れない。こんなことならマイケルからでも情報を収集しておくべきだったか。しくじった。
他者からの直接的な情報収集が期待できないのなら、間接的な方法に頼らざるをえないだろう。幸い我が身は小さく、無音の飛行もできる。大抵の者には気付かれ難いし、気付かれたとしても見逃されることが多いだろう。見逃されないにしても、そんな簡単に捕まるつもりもない。特にここは花畑なので蜂に似た私が飛びまわるにはおあつらえ向きな場所だ。不自然さもなく、隠れる障害物も多々ある。盗み見や盗み聞きをし放題だ。あまり褒められた手段ではないが、これも戦術のうちだ。相対してからが戦いではない。第一、妖怪で蟲っぽい私に道徳もへったくれもない。
そう決めると、秋桜に別れを告げて秋空に浮かぶ。注意して周囲を見れば、ちらほらと何者かの姿があるのがわかる。私の敏捷性なら数時間のうちにこの一角に居る全ての者たちを回ることができる。見つからない、気付かれないことを念頭に置いたある種の潜入任務。事を荒立てず、速やかに情報だけを取得するようにする。夕刻までには全てを終わらせられるだろう。
適当に決めた最初の標的に飛んでいきながら、気づいても蟲だけに無視して欲しい、などとまだ来ぬ冬を頭に描いていた。
日が山に懸かり始め、橙色の光が辺りを染める。色とりどりの花畑にも光は当たり、鮮やかな一面を、どこか寂しい秋めいたものにしていた。
情報収集を終えた私は、周りと同じように澄が上塗りされた秋桜のところに戻ってきていた。結果から言えば、私の予想は概ね当たっていた。とりあえずわかったこととして、学園所属者には生徒や講師などといった分類があること、私は生徒に該当すること、生徒から見て“敵”にあたるものを学園側が島全土に放ってること、生徒や非常勤講師は特定の講師に勝つことにより単位という物を貰えること、また生徒や非常勤講師同士で単位を奪い合うのも可能なこと、単位をある程度集めないと卒業というのができないこと、最終的に単位が一番多い者には立場に応じた特典を与えること、などだ。まだ他にもわかったことはあるのだが、今後の方針を定めるにはこれぐらいの情報で充分だろう。
とはいうものの、特に確固たる方針なんて決める必要がないというのが結論だ。私は単位、ひいては卒業や特典に興味はない、というか元々学園の所属ではなかったので必要性が限りなく薄いのだ。そうなると、まあ、学園からの敵や他の生徒たちに襲われないよう気をつけつつ、今の状況を楽しむ、ぐらいしか思いつかない。積極的に単位を取りにいきはしないが、道楽や力試しで取ってもいいだろう。何にせよ、こういう楽しめることは楽しまなければ損であるし、戦闘することがあるだけでそれ以外は今までの島暮らしと変わらないのだ。少々危険な暇潰しが毎日行われていると考えればよい。死にさえしなければ、暇よりは断然良いだろう。
身体に付いた花粉を取りながら、そんな風にこれからのことを考えていたが、あるものが視界に入り思考を中断する。紅い夕焼けの中、花々の間から一つの影が起き上がってきた。心なしか、それは地面から生えてきたようにも見えた。大きさや姿形は人間でいうところの成人男性だろう。しかし、それは人間などではなかった。緑色の肌、否、肌が緑色なのではなく体を構成するものが緑色なのだ。濃緑の草を細かく紡ぎ合わせて創られた人型。盗み聞きによって得た情報によれば、あれは歩行雑草と呼ばれる種だ。名前だけを聞いた時は、てっきりもう少し可愛げのあるものかと思っていたが、あるでは歩行雑草というより雑草人間と表した方が的確である。草で体が出来ているだけあってか、その顔も大変渋味があるものだった。あまり良くはない意味で。いくら私が虫に近いとはいえ、あの植物だけは近づき難い。
何やら人語ではない雄叫びを上げる歩行雑草。一体あれはどういう生物なのだろうか。妖怪というのも中々に定義のできない不確定かつ不可解な存在ではあるが、あれは我々とは違う種であるように感じる。もしやとは思うが、精霊の一種か。雑草の精霊、歩行雑草。嫌過ぎるな、これは。いくらなんでも幻想を壊し過ぎだろう。あるいは魔術の類による擬似生命体とも考えられる。これなら理論上はどんな無茶な生物でも生み出せないことはないはずである。しかし、私はその方面には疎いので判別しようがない。マイケルなんかはそちら系の存在であると思う。確かゴーレムとかそういう名称のものがあったはずだ。あれは使役する者によって構造や動力が変わるらしいので一概には言えないようだが。
まあ、考えても仕方ないことだ。今は現実を見ていた方がいい。あの奇妙な人型雑草が何をしに現れたのか。あまり考えたくない推測が私の頭にはあるが、事実が決定されるまで保留にしておきたい。
雄叫びを上げていた歩行雑草が急に静かになったと思ったら、何かを探すかのようにきょろきょろと周囲を見渡し始めた。途轍もなく嫌な予感が背中を這うのを抑えていた私だが、歩行雑草の目らしき部分とこちらの目があった時、その予感は確実さを持って身体をぞわぞわと震えさせた。自身の複眼を呪ったのは初めてである。
生徒から見て“敵”にあたるものを学園側が島全土に放ってる――。先ほどの自分の思考が頭の中で反復される。敵と呼ぶからには戦わねばならないのだろう。それで、あの歩行雑草はどう見てもマイケルと同じく学園側の用意したものだろう。そして、さらに彼がこちらを凝視していることから導かれる答えは、つまり、あれか、あの葉緑体の怪物と戦えってことか。
小気味いい破裂音とともに、秋桜の花がばらばらになって空中に散る。こちらに向ってかざされた歩行雑草の手から放たれたものが命中したのだ。純粋な魔力の塊をぶつけるだけの初歩的な魔術、確かマジックミサイルと呼ばれるものだ。とっさに横に飛んで回避したので傷はないが、あまりゆっくりもできない。外したと知るがいなや、相手は周囲の花を蹴散らしながらこちらへと猛進してきているのだ。
紅く染まり、段々と暗くなりゆく空に浮かび、敵を見据える。咲き誇る花たちへの気遣いも見せない様は、実に無粋。人の形を持ち、魔術を扱おうと、知能は人ほどは無いようだ。相手は生存競争の理に従っているだけなのかもしれないが、しかしそれならば、私もそれを実行するとことにしよう。
夕日を反射する刀へ妖力を通しながら、風情を理解できる生物に生まれ変われるようにしてやると、呟いた。
Quick Action / etc
特に何もしなかった。
第1729パーティ・所属メンバー (Before)
蜂刀(1729)
必殺1 孤高1 刺撃5 武具5
現在地 B4
Character Data (Before)
ENo.1729 蜂刀 HP 1637 / 1637 1 必殺1 場所 B4 [花園LV0] SP 230 / 230 2 孤高1 技 使用可能技一覧 NP 2 体格 122 3 刺撃5 参 加 団 体 CP 41 敏捷 113 4 武具5 0 Bug's Blade PS 150 器用 113 5 1 業 0(0) 魔力 75 6 2 連勝 2 魅力 75 7 3 総CP 106 生命 129 8 ――― 4 単位 0 精神 100 9 ――― 5
= Profile = 種族 妖蟲 性別 不明 年齢 不明
空を裂き、肉を裂き、魂を裂き、 小さき体。小さき力。小さき命。
そして銀閃は唯飛んでいく。 しかし刃はどこまでも鋭い。
虫を操り、 刀を刺し、 世を生き、
魂を運ぶ。 命を奪う。 死を見る。
空を飛ぶは一寸の虫。
空を飛ぶは一本の刀。
空を飛ぶは一匹の妖。
彼の身は小さく鋭く、――ひたすらに現世を彷徨うのみ。
No アイテム名 種類 / 強さ / Grade / 効果1 / 効果2 装備 1 刀針 刺撃 / 4 / 3 / なし / なし 自由 2 刀針 刺撃 / 7 / 2 / なし / なし 武器 3 制服 防具 / 10 / 2 / なし / なし 防具 4 胸章 装飾 / 10 / 2 / なし / なし 装飾 5 腕 植物 / 0 / 1 / なし / なし 6 新鮮な雑草 植物 / 2 / 2 / なし / なし
イベント戦闘
第1729パーティ 所属 † V S †歩行雑草
Enemy
歩行雑草「モッサァァァァ―――ッ!!」
BATTLE START!!
非接触フェイズ
[列]名前 HP/MHP SP/MSP [前]蜂刀 1637 / 1637 230 / 230 [前]歩行雑草 683 / 683 110 / 110
戦闘フェイズ
TURN 1
[列]名前 HP/MHP SP/MSP [前]蜂刀 1637 / 1637 230 / 230 [前]歩行雑草 683 / 683 110 / 110
蜂刀の攻撃!
ブレイク!!
歩行雑草に395のダメージ!
歩行雑草の物理DFが低下!
歩行雑草の攻撃!
蜂刀に79のダメージ!
蜂刀の攻撃!
ブレイク!!
クリティカル!
歩行雑草に430のダメージ!
歩行雑草の物理DFが低下!
歩行雑草「モッサァァァァ―――ッ!!」
歩行雑草が倒れた!
戦闘に勝利した!
100 PS、 0 CPを獲得!
蜂刀は 新鮮な雑草 を入手!
BATTLE END.
Normal Action / etc
B3に移動しました。
B2に移動しました。
孤高 のLVが1上昇しました。(- 10 CP)
体格 が 16 上昇しました。(- 12 CP)
生命 が 17 上昇しました。(- 12 CP)
Bug's Blade の活動をしました!
敏捷 が 1 上昇!
器用 が 1 上昇!Bug's Blade の活動をしました!
敏捷 が 1 上昇!
器用 が 1 上昇!Bug's Blade の活動をしました!
敏捷 が 1 上昇!
器用 が 1 上昇!Bug's Blade の活動をしました!
敏捷 が 1 上昇!
器用 が 1 上昇!
CPが 33 増加しました!
NPが 1 増加しました!
Shout!!
瑞奈(4)の叫び!
瑞奈「ホント、帰宅部の多い学校ね」アハト(753)の叫び!
アハト「魔の匠合に入りませんか?魔石作成に必要な魔力と生命を上げられますよ。」ヨク(1340)の叫び!
ヨク「特に叫ぶことも無いな」
Event
何者かと遭遇した!
イベント戦闘予告
第1729パーティ 所属 † V S †眼鏡男
Enemy
第1729パーティ・所属メンバー
蜂刀(1729)
必殺1 孤高2 刺撃5 武具5
現在地 B2
Character Data
ENo.1729 蜂刀 HP 1847 / 1847 1 必殺1 場所 B2 [花園LV1] SP 235 / 235 2 孤高2 技 使用可能技一覧 NP 3 体格 138 3 刺撃5 参 加 団 体 CP 40 敏捷 117 4 武具5 0 Bug's Blade PS 250 器用 117 5 1 業 0(0) 魔力 75 6 2 連勝 3 魅力 75 7 3 総CP 139 生命 146 8 ――― 4 単位 0 精神 100 9 ――― 5
= Profile = 種族 妖蟲 性別 不明 年齢 不明
空を裂き、肉を裂き、魂を裂き、 小さき体。小さき力。小さき命。
そして銀閃は唯飛んでいく。 しかし刃はどこまでも鋭い。
虫を操り、 刀を刺し、 世を生き、
魂を運ぶ。 命を奪う。 死を見る。
空を飛ぶは一寸の虫。
空を飛ぶは一本の刀。
空を飛ぶは一匹の妖。
彼の身は小さく鋭く、――ひたすらに現世を彷徨うのみ。
No アイテム名 種類 / 強さ / Grade / 効果1 / 効果2 装備 1 刀針 刺撃 / 4 / 3 / なし / なし 自由 2 刀針 刺撃 / 7 / 2 / なし / なし 武器 3 制服 防具 / 10 / 2 / なし / なし 防具 4 胸章 装飾 / 10 / 2 / なし / なし 装飾 5 腕 植物 / 0 / 1 / なし / なし 6 新鮮な雑草 植物 / 2 / 2 / なし / なし 7 新鮮な雑草 植物 / 2 / 2 / なし / なし
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