姿を隠せ。息を殺せ。 奴はそこにいる。 自分が唾を飲む音が妙に大きく感じられた。 気付かれていないだろうか。 神に祈りながら、ただそこで待つ。
奴はそこにいる。 荒い鼻息がここまで聞こえてくる。 それもそのはず。ここまで逃げてくるのに一体どれだけの距離を走っただろう。 いや、必死だったために距離を錯覚しているだけなのかもしれない。 どちらにしろ、唯一つはっきりしている事は俺も奴も疲労困憊であること。 これ以上の追跡は無駄だ。諦めてくれ。 心の中で懇願する。奴には届いただろうか。 鞄を持つ手に、自然と力が入った。
奴はそこにいる。 壁を殴る音が聞こえた。背中を、冷たいものが駆け上がる。
「畜生ッ! 今度あったらボロ雑巾にしてでも連れて行くからな!」
奴の大きな足音が遠ざかって行く。 俺はホッと溜息をついて、隠れていた陰から抜け出した。 奴はもういない。 あんな部活に行く必要も無くなった。
さぁ、帰ろう。
書いてから気付いたけど、これって帰宅部じゃーんorz
参加した人には幽霊部員の肩書きがもれなく憑いてきます。それだけです。 やる気がある人もない人も、生きてる人も死んでる人も、 気に入ったら適当に入っちゃってください。 なお、上の文章はこの部活とは無関係です。 鼻息の荒い怖い人が追いかけてきたりすることは多分ありません。 そもそも奴って誰やねん。
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