この世界に来るまでの私は、ただ伽藍堂な、肉でできた人形だった。
存在意義も見いだせず、ただ闇雲に、書物で見た騎士道という生き方にすがり
でも本当の騎士道精神も理解できないまま、ただ死に場所を求めるように、他者のために身を削ることばかり考えて生きていた。

だが、今回の旅を通して、私は、私自身を認めることができたと思う。
自分が不完全な生き物であることも。
男でも、女でもない私自身を。
例え子を育めなくても、肉体で愛情を共有できなくとも。
それでも共に有りたい、大切な存在を見つけられたから。

結局、この一揆の最期、王がどうなるか、見届けることはできなかった。
だが、私には新しい世界が待っている。
共に行くものにとっては、見慣れた馴染みの世界だろうが。
私は、次の世界でどう生きていくのだろう。
もう、騎士ではないかもしれない。
新しい生き方を見つけて、「私」として生きているかもしれない。
でも、それでいいと思っている。
本当の意味で、私は「私」としての人生を歩み出せると思うから。

うーちゃんが放電現象を発生させ、落雷のような轟音（と可愛らしいシャウト）が響く。
それに驚いたかのように、わらわらといくつかの影が飛び出してきた！