がしょん・・・ばしゅう

「（ちょっと・・・疲れたんよ）」
パラダイスとの一戦で死力を尽くしたれんたろうは、
蒸気を噴出し、膝を折った。

「れんたろうさん！起きて下さい！れんたろうさん！」
長い間一緒に旅をしてきたアルトの声が、
やたらと遠くに聞こえる。
そういえば、いろんな思い出があった気がする。
走馬灯は、直近の記憶回路を再生する。
そういえば新王パラダイスと戦った時も、走馬灯を見ていたのだった。

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「れんたろうさん！無茶です！」
戦場を走り回り、新王パラダイスの重い攻撃を受け止める。
そのたびにアルトの悲鳴が上がる。

思えば、不器用だったのかもしれない。

互いに互いを、励ましあって、無理やり守ろうとしていた。
いつの間にか、「守る」という目的が「相手のために損をする」手段にすり替わっていた。自分の身を削ることが、相手に必要とされる最も確実な手段だと、思い込んでいた。

アルト・・・ちーちゃんが強くなれば、守るためにもっと強くなろうと思った。自分が強くなれば、それがちーちゃんを刺激して、もっと強くならなければ、と追い込んだ。

一見好循環のその関係は、螺旋階段を駆け上がるように二人を強くした。だけど、その螺旋階段は、いつも足元から崩れ続け、常に追われているような感覚を強いていた。事実何人かの仲間が、ついて行けずに、離れていってしまった。

早い話、れんたろうには、地面に足がつくほどの自信がなかったのだ。
右足が沈む前に左足。その理屈で行動することを一般的に「浮き足立つ」と言う。

そしてそれは最悪の形で結果に反映される。
冷静に考えればちーちゃんでもギリギリ耐え切れる、その一撃を、
れんたろうは前に出て、必要以上に肩代わりしてしまったのだ。

「守るため」ではなく、「身を削る」ために。
それによって「必要とされる」ために。
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走馬灯に被さるように、
猫の大群が波のように押し寄せてくる映像を見る。

「あー・・・幻覚が見えるんよ・・・にゃんこがいっぱいおるんよー」
極彩色に咲き乱れるネクターの花、
そして無邪気に戯れる猫の群れ。
意識の混濁の末に幻覚を引き起こしているのは、
確定的に明らかだった。
あるいは、
パラダイス戦で戦線崩壊を引き起こしたにも関わらず勝利したのは、
実に自分に都合の良い夢で、

本当の自分は
一撃で
バラバラに
解体され
て
しまった
の

で
は

な

い


か

〜再起動まで…約３０秒　しばらくお待ちください〜


・アイリスさん、ショーガさんの活躍もありなんとかパラダイスを倒した
・その後練習試合を申し込まれた
・相手（リンティアと名乗った）が20匹もの猫を召喚し、そのうち何匹かがじゃれついてきた

だいたいそんな状況をれんたろうが把握したときには、
既に足元は猫だらけであった。
それどころか、猫たちはもはや生存本能を超越した適応力で、れんたろうを居心地のよい縄張りにしてしまった感すらもある。

天板で毛づくろいする猫。砲塔に猫鍋よろしくジャストフィットしてくる猫。足元に出来た日陰でじっとしている猫。じゃれあう猫。爪を研ぐ猫。通行料4800000000000なのです。おさかなくわえたどら猫。財布を忘れたゆかいなれんたろうさん。

れんたろうは把握した。認めたくない現実を。

どうしたらいいんだろうね？


まぁどうにでもなるさ。何でも出来る。
新王パラダイスが倒された今、
全ての可能性は、始まったばかりなのだから。


長い間ありがとうございました！れんたろうさんの次回作にご期待ください！

シュガーは怨霊と会話をしているようです…

シュガーの周囲に目に見える形で鬼火が飛び回る…

シュガーはパロロコンを介して『宗盛の霊』の具現化に成功した！