――"世界からの脱出"、そして"帰還"。

彼が、あるいは、彼らが――その寡黙な放浪者たちが。
永き時を共に旅してきた中で、その依頼主ルークの、たった一つ目的だった。

ルークは、これまでそうしてきたように手帳をめくり、
何事かを思案していたようだったが、その様子には難航、難儀の毛色が良く似合う。

時間はあまり残されていないことが、彼らを取り巻き、張り付くような気味の悪い静けさとなって物語っていた。


『いや、』と。
……ふと、思い立ったように白衣の男へと視線をやる。

思い立ってみれば、今ルークという男はとっくに一人などではないのだ。
そこに仲間がいたことを、いつも忘れかけてしまいそうな二人の仲間を思い出して。
あわよくば何かヒントでも、程度に思い訊いた言葉だったのだが。


事態は、彼の思っていたよりも深刻さに欠けていたのかもしれない。

ルークの呟きに気が付いたハーヴェイは事も無さげにそう言ってみせる。

飄々と語るが、進捗を全く知らせていなかったのだから質が悪い。尤も、それを指摘すれば「聞かれなかったからな」と答えてくるのは目に見えているのだが。

「やろうと思えば直ぐに帰ってこられるだろうけどな」と一言付け加えると、手元のノートに何やら書き込みを始めるのだった。