よんじゅうよんにちめ。

いつも以上に身体が軽く感じる。これはアラヤちゃんから受け取ったこのグローブの能力なのかな。
狂う魔物からの攻撃を上手く受け流しながら、グローブのアラヤちゃんの魔力を術式に循環させていきます。
そして更にその上から新たな術式を重ねる様にして私の魔力を循環させていき、以前から構想していた術式をここ一番で披露する。

術式が発動すると魔物達の居る地面一体が黒い影で覆われると、無数の黒い結晶が地面から飛び出て魔物達を串刺しにしていく。
黒い結晶に刺された魔物の傷から肉の腐る匂いがする…あの黒い結晶には腐食性の効果がある様です。

魔物達が想像を絶する痛みに発狂しながら悶え苦しんでいる所に、更にアラヤちゃんの追撃が入ります。
アラヤちゃんの大技を受けた後、魔物達の生命活動は停止しました。

…最後の最後に、魔物の一匹が火事場の馬鹿力かで突貫してきて召喚した氷霊で守らなかったら危うかったのは内緒です。

　＊　＊

隣で一緒に歩くアラヤちゃんに、造ってもらった武具の事で私の会話が盛り上がっています。
戦闘中で夢中だったけど改めてこのグローブを確かめてみると、私に合わせた造りになっているのが良く分かります。

このグローブの指先に付いている蒼い結晶球体に魔力を込めると水を精製する事ができ、
更に魔力を循環させる事で瞬時に水を氷に変換させる事が出来ます。

氷に変換させた際の結晶球体から氷が伸びる姿は、宛ら『氷の爪』の様に見えます。
この様なギミックになっているのは、私が今まで使っていた武器に合せてくれたのだと思います。

そしてこのグローブには私の魔力とは別にアラヤちゃんの魔力が内包されています。
私の魔力だけじゃ足りない部分をアラヤちゃんの魔力を補ってくれる…そんな造りになっていました。

アラヤちゃんが私の事を思って徹夜で造ってくれたこのグローブ…今までに無い程に嬉しさで顔が緩んでしまいます。

満面の笑顔でアラヤちゃんにお礼を言うと、アラヤちゃんは照れくさそうにぷいっと顔を逸らしてしまいました。
そんなアラヤちゃんの様子に私はふふっと笑いながら、照れるアラヤちゃんの手を握って二人仲良くこの大草原を楽しく歩んでいきます。

　＊　＊　＊

何事も無いと思っていた私達二人。
如何してか私とアラヤちゃんは、変な男達二人の喧嘩に巻き込まれていました。

普通にこの大草原を楽しく歩いていた筈なのに…。

思い出せば数分前。
二人で楽しく歩いていると何処からか人の声が聞えてきて、興味本位で声のする方へ見に行ったのがいけなかった。
こっそり草叢に隠れながら見に行ったら、何故か黒髪の男性に即バレてしまい…。

そしてあれよあれよと、黒髪の男性が一方的な言いがかりで金髪の男性に喧嘩を仕掛けるのでした。
そして何故か私達二人は黒髪の男性に強制的に協力する事に…。

流石のこの展開に隣のアラヤちゃんも混乱してるのか口元が少し引きつってました。

とはいっても、この先へ進むにはあの金髪の男性をどうにかするしかない様です。
ここは不本意ですが、黒髪の男性に協力する事にして武器を取り出し構えます。

お決まりの台詞を吐いて、私達二人+オマケはこの先へ進むべく金髪の男性と対峙します。