いつの間にか、私達の参加していた一揆は終わりに差し掛かっていたらしい。
大元の問題に決着がついたと聞いたけれど、伝聞に伝聞を重ねたせいかハッキリしたことはよくわからない。新王どころかこの世界を作った誰かさんまで出てきたとか、下手するとメルンテーゼ自体の存亡の危機だったらしいとか、色々。
とにかく最前線で頑張ってくれた人達のおかげである程度の落とし所が見つかって、とりあえずメルンテーゼに平穏が訪れそうではある、らしい。

（ロスタイムみたいなものだろうか）

休憩中、ぼんやりしながらそんな事を思う。
膝ではまだサラマンダーの姿のままのカメリアがうとうとしている。

（……どうしようかな、私）

あの子、私が妹だと思い込んでいた娘。境戸鯤。今は「鵬」と名乗っているらしいと、スギから聞いた。
この姿に戻ってから、私はふと気がつくと彼女の事を考えている。

スギには軽々しく「会わせてくれ」なんて言ってしまったけれど、実のところ、私の心の整理はちっとも着いていない。
ロスタイムが終わったら、私は少しだけこの世界を観光して、それからあの世界に帰るだろう。
そうしていつか、スギに助けられながらあの子に会いに行くはずだ。

その時に、私は平静でいられるだろうか。
あの子は私の大事な妹、だった。
例え偽物の記憶でも、その感慨は私の中にしっかと根を張ってしまっている。

しかしあの子は私のことなど露も知らない。

スギの謝罪に恐縮しつつ、余計な事しでかす前で良かったと、ほっとしたような笑顔を向ける。

ぶん、と大剣を一振りして、快活に笑う。