時刻はお昼から少し過ぎた頃。
森を散策していると、木陰からふらりと、見覚えのある顔が姿を表します。

困ったように笑ってから。
溜息を一つ。

怒られそう、とでもいうような顔で反省の表情をしてから。
少し弾むような足どりで近づいてきて。

目の前までやってくると、最後にあった時よりもほんの僅かにですが、成長しているのが分かります。
身長もちょっとだけ大きくなったし、前はいつも仕草に染み付いていた、探るような、怯えるような気配がありません。

胸に手を置いて、嬉しそうに自分のことを話しはじめます。

そんな話をしてから。
そうだ、と手を叩いてもう一つの提案。

そう言ってから、いそいそと手にした籠から敷き布を広げて地面に広げると、ティーセットを準備します。
もともとそのつもりだったのか、ティーセットを並べると、いそいそと小さなランプでお湯を沸かしはじめるのです。

そうしてハーブティーの葉を用意しながら、そうだ、と思い出したように。

お菓子作りが得意なたまコさんから、前にお菓子をご馳走すると約束してたことを思い出して、くすりと笑い。
かわいい市松模様のクッキーをお出しするのでした。

　

難しい事は考えず、この天使はまた会いたいから「またね」と言うのだろう。
無き右腕を振り、遠くなっていくたまコを見送る。
別れを惜しむようではなく、ただまた会える日を楽しみにするように。

エシャロットは、誰か一人を徹底的に愛するようなタイプではないのだろう。
誰とでも仲良くできるところはあるが、いざという時の決定打は欠けるかもしれない。
きっと全員愛するつもりだ。

その言葉に、とってもはりきる様子で燃え上がるのであった。

どれだけ長生きしても、リータは昔っからリータで、本質はあんまり変わってないのかもしれない。

その場を去るたまコに別れの挨拶を告げるように、手をふるのであった。

・・・

・・・

・・・

そして、数日後。

たまコが、甘いお菓子をお礼に届けようとしていたところ、ばさりっと羽根を羽ばたく音が聞こえる。
その音に気づいて空を見上げてみると、リータとイグニの姿…。
それだけではない、なんと、エシャロットにも天使の羽根が生えていたのだ。

…一体この数日で何があっというのか。
立派な白い天使の羽根をはやしたエシャロットに…
確実に疑問を抱くだろうといった様子の反応をするリータであった。
何にしても挨拶は大切だ。

そういっておなか周りを気にする仕草を見せる

自分も甘いものが好きであるからか、うんうん と何度もうなずいている。



これで最後の挨拶に、と聞いて

しかしドタバタ、ギリギリになっちゃっても構わなければという提案を聞き−

時間の無い中、協力してくれるたまコさんに両手を合わせ、感謝を述べる