複数に展開された術式から蒼色の光を幾度と無く放ち、周囲の敵を残らず氷結させていきます。
大量にやってきた魔物達は私とアラヤちゃんの攻撃によって瞬く間に地面に倒れていきます。

最後の魔物を退けて全ての敵を倒したのを確認する頃には、私は肩で息をする程に体力を消耗していました。

前回の魔力のオーバーフロー対策をして大型化した術式運用･･･それ自体には特には問題はないのです。
問題は大出力になった事で私自身の身体への負荷が凄まじく大きくなった事。
未熟な身体では大型術式による負荷に耐え切れなくなっていました。

今後の不安を感じながら額から零れる汗を手で拭うと、戦闘態勢を解いたアラヤちゃんが私の方へやってきました。
アラヤちゃんから労いの言葉を受け取ると、二人で焚き火横まで戻ってお夕飯を取ります。

木製のお皿に入れられたシチューをアラヤちゃんから受け取り、いただきますの言葉を共にシチューを口へと運びます。

アラヤちゃんのシチューは相変わらず美味しい。
少ない具材と私の取ってくる香草などを上手く使って香りと味付けされていて食欲を擽ります。

疲れた身体に染み渡るとはこの事でしょう。
アラヤちゃんのシチューを食べる度に疲労が回復していく感覚を覚えます。

おかわりを受け取る際に、アラヤちゃんが私に何か言おうとして言葉にするのをやめます。
その後、何でも無かったかのようにアラヤちゃんは自分の食事を再開します。

･･･アラヤちゃんにあまり心配をかけないようにしなくちゃ。

　＊　＊

一晩休んで次の日。
ゆっくり休んで完全とは言えないですがそこそこに体の疲労も取れた感じです。
簡単な身支度に荷物の纏め、焚き火の火の後始末を済ませると、既に準備を済ませてるアラヤちゃんの元へ駆け寄ります。

ぼんやりと佇んでたアラヤちゃんの手を握って出発しようと伝えると、アラヤちゃんが頷いて手を握り返してくれました。
握り返してくれた事に以前に益して仲良くなれたと感じて嬉しさに笑みが止まらなくなります。

小さく鼻歌を歌いながら一面緑の大草原を進んでいきます。
暖かい太陽の日の光に照らされてまさにピクニック日和･･･これで敵が出なかったらですが。

暫く歩いてると茂みの方から探知魔術に反応を感じる。
昨日の不意打ちの事でお夕飯の際に相談して、消耗は大きくなるけど探査魔術の精度を大幅に引き上げたのが功を奏した様です。

アラヤちゃんも同じく気付いてる様で、反応した草の茂みを薙ぎ払って不意打ちを阻止します。
急に茂みを薙ぎ払われた事で慌てて飛び出てくる魔物達。
その中に昨日には居なかった、初めて見る魔物の姿も見受けられました。

魔物に関しての書物を読んでおけばよかったと少し悔やみながらも戦闘準備に入ります。
昨日と同じ様に大型の魔術陣を展開して魔力を注ぎ込み術式の起動を始めます。

負荷によって身体がピリピリと痛み始めるのを顔に出ない様に我慢しながら、アヤラちゃんの掛け声と共に戦闘を開始します。