*SIDE*セツカ

オリフィアの黒いオーラの攻撃をしのいでいると、どうやら話し合いが終わったのかオルタンシア…フィーの前世、らしいが話かけてきた。

「だいたいの方針が決まったから話すわよ？」

「その前に一つだけいいかな、オルタンシア…さん」

「オルタンシアでいいわよ、数年ずっと一緒だったんだから。水臭い。」

いや、俺にはまったく記憶にございませんが。

…ああ、なんか深雪シールドの向こうに居る記憶召喚されたフィーの目が痛い気がする！？

…気を取り直して。

「俺は、フィーや兵庫さんだけじゃなくて…彼女も、オリフィアも救いたい。」

「…なかなか難しい事を言うわね？」

「そうね、浮気？浮気なのかしら？」

って、何時の間にか深雪シールドを飛び越してこっちまで来てるしフィー！？しかも、凄い目線が痛い！？

顔を引きつらせながらフィーにも飛んでくる黒いオーラを弾き飛ばす。

「いや、浮気とかそういうのじゃないからな？絶対違うからな？」

「…そういうことにしておいてあげるわ。でも、オリフィアさんは多分だけれど…それを望んではいないと思うわよ？」

…それは、なんとなくだがわかる。彼女の目を見たら。
あの目は…そう、オリフィ―と決着をつけに行く前日の…ペンダントを預けに来たフィーの目によく似ている。

「…たとえ、どんな結末になっても、決して覆らない覚悟というものはあるのよ。」

わかっている。

オリフィアは、自分の望みを叶えるか…それとも叶えられずにここで敗れて散るか。

それしか、きっと望んでいない。

でも、それでも。

あの時、レイヤ先生達を尾行しながら一緒に遊園地で遊んだ彼女は、ただの少女だった。

「…彼女はまだ、生きている…！」

脳裏に描かれるのはあの時、助けられなかった騎士団の皆、女騎士のティヒア…。

生きたくても生きられなかった人達がいる。

でも、彼女は…魔王と化していても、まだ生きている。

なら可能性が少しでもあるのなら…！

「セツカの守りたい病も困ったものね…しょうがないわね。それに、私も守られてきたのだものね。」

そっとフィーが俺の手を握る。

「フィーと兵庫さんの魂を分離させるだけじゃなく、魔王とオリフィアさんの魂も分離させる事になるのよね？…難易度は跳ね上がるわよ？」

「分の悪い賭けは…嫌いじゃないさ」

オルタンシアがやれやれといった感じでフィーと俺が握っている手にそっと手をかざす。

「それじゃあ、私の全ての力、貴方に託すわよ？」

「私も、一足先にセツカの中に戻るわね…私を、よろしくね？」


まばゆい光が三人を包みこみ


そして、俺の中に力が溢れだす。


「セツカ・F・フラムラージュ…いや…獅堂　雪火…行くぜ！」