*SIDE*レイヤ

「いえ、ない事はないわよ？」

魔王に対抗する方法はないのか？という問いに対して、オルタンシアは有ると答えた。

「ただ、これはあくまで対抗する方法であって、もうあの魔王オリフィアを根本的に倒す事はまず、無理だと言っておくわね。」

「倒すのは無理だと？色々とどういうことだ？」

１から順に説明するわね、と何処からか眼鏡をらしきものを取りだしてかける背後霊オルタンシア。
教師気分らしい。

「…すまんが手早く頼む。そろそろアホ毛も限界くさいのでな。」

ほっておくと、黒板やらなんやら取りだしそうなのでさっさと先に進めるように言う。

「ちょっと気分を出してみただけよ。まず、今の魔王オリフィアは長年、封印術によって吸われていた魔力と二つの近しい魂の力によってほぼ究極完全体のようなものよ。たとえ、私の力やそこのウルドさんの力で中和は出来ても、完全消滅させることは難しいわ。多分、多少のダメージぐらいなら本体に与えてもすぐ再生するでしょうね。」

「なるほどな、ではどうするのだ？」

「消滅は無理でも、封印術をもう１度施すことが出来れば、封印することは可能かもしれないわ。まあ、その為にはある程度ダメージを与えて、取りこんで居る２つの魂…兵庫さんだったかしら？と、フィーの魂を分離させないといけないけれど。」

なるほど、最終的には力押しか。

「それには、まず私が今持っている力、全てをセツカに託すわ。それで、そこのウルドさんと一緒にオリフィアの闇の力を中和して欲しいの。それから、後は…こう、なんていうか任せるわ。」

「おい、待て。思ったより大雑把だな、作戦が。」

「ま、任せるわって言われてもどうすればいいんですか？！」

サクラもうろたえている。
そりゃ、いきなり任されたらうろたえもするだろう。
というか、俺様に任されても今の状態じゃ何もできんぞ俺様。

「しょうがないじゃない、そもそもあのオリフィアを封印したのは私じゃないんだし。貴方が本調子から程遠いのも百も承知よ。だから、サクラさんに補佐してもらってなんとかして。」

サクラと一緒に、か。

「レイヤ先生…」

不安そうにサクラがこっちを見ている。
多分、俺様の身体を気遣っているのだろう。

多分、サクラの補佐があったとしても今の身体では封印術を施せても一回のみ。

そのあと、俺様の身体もどうなるかはわからないが。

だが、それでも。


「兄上…」

ユカラ

「兄上様…」

マグノリア

「レイヤ先生、無茶なら…」

そしてサクラ…


あと、他アホ毛とかセツカとか道産子とか。


「…大丈夫だ、サクラと一緒ならな。…手伝ってくれるな？」


こんなところで、終わるわけには…終わらせるわけにはいかないのだ。

「はい…！」

サクラも覚悟を決めたのか、力強く頷いた。