「シェリィ、この世界に戻りたがってたのは私（わたくし）の護衛の為ではないでしょう？　会いたい人が居たら会って来てもいいのですよ」

そう告げるレフィの言葉に、どこか気まずそうにシェリィは呟く。

「こんなに早く戻れると思ってなかったんで、どうも……皆に会いに行ったりするにはこう、心の準備がですね……急にこの世界を離れる事になったんですし」

その言葉に、にこにこと笑いながらレフィは告げる。

「戻ってきてからこの世界の話をしてくれたシェリィは、今までどの世界に派遣されていた折よりも、楽しそうでしたわよ。きっと案ずるより生むが易し、ですわ」

「そうですね……でも今はレフィ様の護衛が終わるまでは駄目です。ここに飛び出してきてそれをしてなかったら三古老に何を言われるやら」

「皆は心配しすぎなのですわ」

「外の世界に分身だろうが何だろうが出られたのが百の単位でなかった方、心配しないはずないでしょう」

「先の“混沌”をシェリィ達が滅ぼしておいて下さったのも出やすくなった理由だから感謝致しますわ」

「……情けない思いをしたのを思い出させないで下さいよ……」

「あらあら、ちゃんと勝って戻ったのだから大丈夫ですわよ。それに私（わたくし）ちゃんと視てきましたけれど、この近隣世界には今の所危機はありませんわ。それ位はしてこないといけない身なのは承知してますわ」

「最低限のことはなさってて安心しました。……とりあえず、レフィ様はこの世界で少し羽をのばしつつ、この世界での騒動の行方を見届けたい、そういう事でよろしいでしょうか」

「そうですわね、シェリィも関わったからには見届けたいでしょう？」

「それは否定しません」

「ではそういう事で。合間にすれ違う程度でも、シェリィの御友達に会えるといいですわね」

「友達……そう言ってくれた子も居ましたけれど……皆にどう思われていたかなんて、分かりませんけれどね」

小さく苦笑するシェリィに向かってレフィがにこにこと笑う。

「大丈夫ですわよ。ずっと見守ってもいた私（わたくし）が言うのですから。さ、では次の場所へと参りましょうか」

（鞘から長剣を抜き放つと綺麗に構えを取って）

（緩やかに仕込み杖を長剣の形に変形させて構える）

（穏やかに微笑つつ仕込み杖を元の杖に戻す）