――チリン。



僕達は時折鈴を鳴らしながら、光の帯を辿って歩き続けた。
光の帯はまっすぐ伸びていたと思えばぐにゃぐにゃと曲がりくねったりと一定の経路ではないようだ。

僕達はそういった曲がっている部分も丁寧に沿って進んだ。
はっきりと理由は分からないけど、たとえ遠回りでも光の帯を離れてはいけない、そう思えたのだ。

シアはやや緊張した面持ちで僕の手を握り、隣を歩いている。
多分僕も似たような表情をしているかもしれない。


それは自分の内面世界とはいえ、未知の領域に踏み込んでいるから。
そう、光の帯はいつぞやの『綻び』を抜け、僕達にとって未開の領域を進んでいる。
あの時、『システム』はシアの存在、そしてそこにいるシアの呼びかけを辿って僕が眠っていた場所に辿りついた。
そして今はそれとは別の道を辿っているのだろう。

一体どこに続いているのだろうか。
いや、どこまで続いているのだろうか。

少しばかりの不安を感じながら僕達は鈴鳴の導きを辿っていった。




・〜・〜・〜・〜




それからどれくらい歩いただろうか。
少し休憩をするか迷い始めた時、ついに光の帯の終点が見えてきた。

僕達は足早に光の帯を辿り、その輝きの下に辿りつく。
すると、光はひときわ強くなり僕達を迎える。

僕は意を決して光の中に手を伸ばす。


その瞬間――光は弾け、霧散する。

まるで役割を終えたと言わんばかりに。

心配そうに尋ねてくるシアに僕は笑顔で答える。
少し派手だったものの、実害はなかった。

そして、手の中に残ったものがひとつ。

それは紫色の布地に金の刺繍が成された分厚い本だった。

深呼吸一つして、