三連発で術を叩き込んで敵が倒れる寸前まで追い詰めるものの、敵はソウハの放った術を吸収して全回復してしまう。
おそらくソウハの魔力と相性がいいのだろう。
アラヤたちの魔力が尽きるのが先か、敵の体力が切れるのが先か・・・答えは明白だった。
何か策はないかと考えながら戦っていると、隣のソウハがアラヤの手を取って走り出した。

逃げるが勝ちというやつだ。

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しばらく走ったが敵は追ってこなかった。
彼女たちはただ自分たちの縄張りを防衛していただけなのかもしれない。

安全を確認すると、ソウハと手を繋いでいることに戦闘の前とは違う気まずさのようなものを感じる。
そんな様子に気がついたのか、ソウハがこちらをじっと見ている。
さらに気まずさが増したので、つい顔を背ける。
するとソウハがくすりと笑う。
何がそんなに嬉しいのかはよくわからないが、悪い気はしなかった。

ソウハは続けて笑いながら先ほどの失敗を謝ってきた。
これで前回の誤射とはおあいこ、だそうだ。

でもソウハの言葉に嫌味は感じなかったし、もしかしたら「アラヤが気にしていたこと」を気にしていたのかもしれない。

複雑な溜息の後に出てきた言葉はそれだけだった。
それでもソウハは満足したように、嬉しそうに繋いだ手の力をぎゅっと強めた。

しかし手を振り払う気にはならなかった。

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周囲の安全は確認できたので、食事と休憩をとることにする。
いつもソウハが食事を作るのだが、今日はなんとなく手伝うことにした。なんとなく。
元々料理は苦手じゃない。むしろ得意だった。
最近まで、すっかり食事とは縁遠い生活を続けていたが腕は落ちてないだろう。
それに今回は手伝いだ。そこまで気を張る必要もないだろう。

二人で食事を作り、しばらく休息を取る。
その間に、向こう数日分くらいの言葉を発した気がする。

充分な休息も取れたので再び歩き出す。
ソウハは歩きながらご機嫌そうに鼻歌を歌っている。
歌の良し悪しはよくわからないが、嫌いじゃないメロディだった。
なんとなく合わせて鼻歌を歌ってみると、ソウハはさらにご機嫌になった。
悪くない気がする。

さらに歩くと少し先に白い・・・蛇が数匹見える。
ソウハはおもむろに食料袋を開けて中身を確認すると、蛇を捕まえて食料にしようと言う。
たしかに蛇は食用にもなるらしいが・・・。
きっとアラヤたちはそれほどまで食糧事情が危ういのだろう。
最悪アラヤは何も食べなくても問題ないのだけど・・・。

先ほどの食事光景を思い出すと、不思議とほんの少しだけ食欲がわくのだった。