〜メルンテーゼ　とある場所〜

一人のいかにも魔女スタイルの女性が飛んでくる

「はー、やれやれ、やっと着いたか」
「全く、何やってるんだいアルマは…ま、大方想像はつくか…」
「にしても、王が変わったとは聞いたけど、また随分様変わりしたんだねえ」

飛行を止め、静かに着陸する

「さて、と…鍋の居場所はわかってるんだし、まずはあいつを探して……っ！？」

不意に背後から引っ張られる

「あ、あんたは…なんでこんなとこで…」
「それはこっちの台詞じゃよ。あの鍋を見た時は、もしやと思ったが」

そこには青白い肌をした狐が酒を飲んでいる

「安心せい、アルマも鍋も、我の知り合いと一緒におる。迎えに行くのはもう少し後でも良かろう？」
「けど、あいつの魔力も感じるじゃないか。早く逃がさないと…」
「あれはあれで上手くやっておるようじゃ。さすがは豪運の持ち主なのか…ま、何とかなるじゃろ？」

魔女はため息をつく

「全く無責任な……わかったよ、そこまで言うなら、その酒を飲み終わるまでは付き合おうじゃないか、シズク」

シズクと呼ばれた狐は、変わらぬ調子で酒を注いでいる

「心配せずとも、そんなに酒は残っておらんようじゃよ…」

なんて笑いながら言うと出来上がりをわくわくと待つ。

　気遣わしげに少女を見て。

　一家に一台欲しい。