その記述は本の一番最後のページにあった。
今まで気付かなかったのは、この本は、基本的にページを自分で捲る事がないからで、
今回、それを行っていたのは、珍しく自分の足跡を読み直していたからだ。

この世界での戦いも終わろうとしている。と思う。
だから、読んだ。
そして、読んだ後で、閉じる前にパラパラとページを飛ばして──ほとんど真っ白なページだった──見ていたら、
偶々見つけてしまったのだ。

「ちょっと聞きたいのだけどいいかな？」

あたしは手にした本に話しかける。
本は勝手にページを捲り、真っ白なページに言葉を綴り始めた。

『最後の言葉について、か？』
「うん。だって、この本はあたしの足跡を書いてるんでしょ？
　あれは、あたしの言葉じゃないし、どう見ても……」
『──元になった本に込められた想いは、誰かに受け継ぎたいというものだった』

本は続ける。

『見て欲しい。解析して欲しい。読んで欲しい。役に立てて欲しい。
　時間があれば自分で行っていたこと。
　しかし、それがなかったために誰かに託すしかなかった。
　ただ、その願いが叶えられたのかどうかは分からない。
　それはその本の未来の話だからだ。
　悲しい物語になるのなら、それは叶わないのだろう』

ふむ、と頷きながら照れくさそうに頬をかく。

暗い眼で空を見上げた。

自分の機械を指さしながら。

詳しく聞かせて、とせがむように。