魔物っていうのはどういう仕組みで動いているのかさっぱりわからない。
食料袋を漁って回復する敵を見ながら、改めてそう思った。

このままでは食料が尽きるまで延々と回復されてしまう。
それに食料を取り返すために戦ってるのに、その食料を全部食べられてしまっては元も子もない。
ソウハもそんな敵の様子に焦って、広域術式を展開し一気に終わらせようとする。

しかし敵の攻撃で集中が乱れてしまったのか、ソウハの術式が暴発してしまう。
暴発した術式は敵味方関係なしに、文字通り霰のように氷の礫を降り注がせる。
当たっても大したダメージは負わないのだが・・・うっかり反撃用の結界が発動してしまい、魔力上乗せでソウハに打ち返してしまった。
こちらを見るソウハと目が合ったが、一瞬の気まずい間のあと再び戦闘に戻った。

この後ソウハを誤射してしまったのは関係ない。
別に動揺してない。

*----*----*

無事食料袋を取り返したアラヤたちは、元いた場所へと歩いて戻る。
前を歩くソウハとの間にはなんとも気まずい空気が漂っている。

しかしそんな気まずい雰囲気も嫌いではなかった。
自分の中に人間の心を感じられるから。
それがいいことなのかはわからない
。

そんなことを考えながら歩いていると、おもむろにソウハが振り返って謝ってきた。
さっきの誤射についてらしい。

結局お互い様ということで決着した。

元の場所に帰り着くとソウハがやたら気合の入った朝食を作ってくれた。
少しだけ「おいしい」と思えた。

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朝食を終えて半日ほど歩いた頃。
ソウハが急に周囲を警戒しだす。
あぁ、この匂いは・・・。
匂いの原因を見つけた様子のソウハの視線の先を見ると、モズクの怪物とこの前見たイソギンチャクがいた。

敵意丸出しで戦闘態勢に入るソウハ。明らかに動揺している。

気にしていても仕方がない。邪魔者はただ排除するだけ。