ここがしょうねんばです。

ありがとう、ついてきて正解だったよ。
……こんなことを考えているやつなんて、放っておけないから。

正直俺達は全然知らない土俵で踏ん張ってる者同士、考えると憶測だけになっちまうな。
でも、人の理の外を知ってる旦那から見ても俺の推測は一応否定できるもんでもないってだけでも、参考になるぜ。

俺の場合、もしかしたら、一揆とは別の、
一揆に関わる誰かの『縁』に呼びこまれたような印象はある。
少なくとも、あいつは俺を呼んだ一人、いや一頭になるんだろうな。

言葉に関しちゃ、ここが元々通じる言葉を使ってたってことか。
ナナシの旦那も見る限り言葉が通じるように何かしてるわけでもないんだよな。
そういや、樹里の知り合いであいつの言葉分かる奴なんていたのかね。
今となってはそれも分からねえか。

……多分『香月樹里』のほうは残ってる気がする。
はっきりと言っちまえば、俺はジュリは樹里の魂か、それに近い何かだと思ってる。
ジュリがネクターがないと生活できなかったのは、
あいつの体がネクターを使って出来たものじゃないのかって。

こいつもジュリの体を造っていたネクターなんだと仮定したら、
こいつが届いてあいつの声が聞こえるようになった理由も分からねえでもねえ。

ジュリが体を得たり、成仏しないで残ってうろちょろしてるのは、
ジュリを繋ぎ止めてる根拠……、元の体っていう楔が無事にどこかに残ってるからじゃねえかってな。

ここはエンブリオとの契約っていう縁で力を得られる世界、
御伽噺よりも比較的簡単に猛者になれちまう世界だ。
何かを繋げる作用や縁が、俺達が思ってる以上に力を持っていてもおかしくねえと思う。

てぇか樹里そっくりなジュリが現れてそいつが体喪っても居座ってるのに、
すべからくひっくるめて、実は全部たまたまですなんてほうがおかしいだろうがよ。

……”これ”以外に、

俺を求めたのは、あれが初めてだった。
老いて先立ち、俺を置き去りにすることもなかった

求められたことが、嬉しかった。
それが気に入らなかった。
……気に入らなかったのだと、思う

……力を失う前、か。
そうだな――雨を連れ歩いていた

と言っても、狩りの時だけだがね。
悪天候に紛れ、獣が惑う隙にそれを狩る。
俺の狩りのやり方はそうだった。
そうでない狩りも、他の狩人に比べたら随分とうまくやれていたと思う

そもそもが身体が頑丈にできているようでな。
高い崖から落とされて骨を折っても、軽い処置をすれば数日で治ってしまうほどだった。
お前のようなあやかしには珍しいことではなかろうが、人間にしては丈夫だろう

あとは――これがどれほどのことなのかは、
俺にも判断しかねるが――

フィンヴェナハ。
生粋の竜であったあれと、身一つで渡り合うことは、ひとまず叶ったよ

……確かに、あれを遠ざけてしまえば
或いはある程度、楽にはなるかもしれん。
それを望んでいる面もある。ありがたい申し出に思う。
ただ――

俺は、あまりにも長い時間を、あれに強いた。
最初から望みがないにも関わらず。
俺があれに応えることは有り得ないにも関わらず

求められる心地よさに甘えて、そのままでいた。
無駄な時間を浪費させた

……今更拒むことが、許されるものかね

うふふ、この容器は元々薬品の調合に使うものなのですが…
お酒もある意味、薬みたいなものですから。私のやりやすい方法でやっているのです。

えっ？　なんで興奮してるかですか…それはですねー

ナナシ様はどのような乱れ方をするのかって想像すると、つい…♥
味を損ねない程度に『媚薬』を入れておいたので今からでもわくわくして興奮が…はぁ、はぁ…♥

ピアンタさん『また』いれたんスか！！やめてくださいっスよーもー！！

ええっ？　でも、ナナシ様なら、もしかしたらわかってくれるかもって…

クォラー！！ピアンタちゃーん！！
初対面の人に媚薬を盛るなっていつもいつも言ってるですのー！！（頭ペシーン！）

きゃんっ！

あっ、ナナシちゃん。この子だいたい初めて会う人に薬やら食事やら振る舞う時そういうの入れたりしちゃうんですの、気をつけるですの

しょうがないですね…ではこちらの媚薬の入ってないリキュールをどうぞ。

ピアンタちゃんは嘘がつけないくらい正直な子だからそのお酒は大丈夫ですの〜

さてぇ！　ちょっとどたばたしちゃったけどこの料理をお食べるといいですの！

んーーーーーーーーーーーーーー

んんんんんんんんんんんんん………

うーんんんんん………………………

さて、一手ご指南願います。

破壊しようというなら、こちらはそれを止めるだけです

もし君が、エンブリオにも――僕の友人にも手を出すつもりなら、

……君が何だろうと、行かせるわけにはいかない。

こんなこともあろうかと、脱ぎやすくしておいた。

ほ、ほのおやめッ！！ほのおやめぇぇッ！！ほのおやめぇぇーッ！！