セリィおねえさんは、やっぱりあたたかい。
おねえさんにだかれながら、猫はぼんやりとそうおもいました。

おねえさんのひとみからは、きらりとひかるしずく。
でも、そのかおはかなしみではなくむしろ――


しずかにそっとよりそったまま、ただこのじかんがずっとつづいたらよいのに、とねがうばかり。




おねえさんに、猫のおもいはとどいたようです。

それがおくれてようやくわかると、なんだかきはずかしくなって猫はてれながらこまったようにわらいました。
なんだかおねえさんのかおをまともにみられそうにありません。
なんとかしてすこしこころをおちつけないと。

おねえさんにきづかれないよう、どうにかごまかそうとかんがえて――


『いいことおもいついたのです！小生がこのさきがどうなってるかちょっとみてくるのです！』


これなら、おねえさんもまもれるし、きはずかしさもかくせる。いっせきにちょうです。
ほどほどにきもちがおちついたら、おねえさんのところにもどってこよう。

猫は、おねえさんのかおもみずに


『それじゃあ、いってくるのです！
だいじょうぶ、あぶないとおもったらすぐもどってくるのです！！』


そうつたえるとかけあしでさきにすすんでいきました。

りょうてでほこりをはらっておおきくのびをしました。

戻ってきた黒猫の少年を見るや否や…

大声で怒鳴りつける。けれど。

気遣うような表情を見せ、少年の身を案じていたことを告げ…

ほっと、胸をなでおろす。

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた

　猫が舞い散る花弁に向かってジャブを繰り出したり、
　跳びかかったりしている。