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今日の村は賑わっていました。

ケット・シーの女の子が、たまたま家の奥で宝の地図を見つけたのです。
森の皆で宝を探しに行こうと誘い、皆それに賛成しました。

けれどもドワーフのタムタムだけは、遠慮したのです。

「そんなの嘘っぱちに決まってるさ。おいらは絶対行かないね。
　行きたいなら皆今日準備して明日にでも行けばいいさ。準備くらいは手伝ってやるよ。」



タムタムは、みんなより先回りして宝を独り占めするつもりでした。

日が落ちて誰もが寝静まった頃。
ケット・シーの女の子の家にこっそり忍び込み、宝の地図を盗み出すとタムタムは誰よりもはやく宝を目指して出発しました。


「宝と言うくらいだから、良いものに違いない！」

タムタムは地図を辿りながら期待に胸を膨らませます。

やがて洞窟に辿り着いたタムタムは、慎重に奥深くへと進みました。

光り輝く一つの宝箱を見つけると

しかし、中に入っていたのは沢山の紙切れでした。

タムタムは怒って、帰り道に色々なものを壊しながら帰りました。
途中にあった木を切り倒し、葡萄のつるをちぎり、川の岩を砕きました。

沢山ものを壊したので、村に帰るころにはヘトヘトです。
地図を持ち主のところへ返し、くたびれたタムタムは一日中眠る事にしました。
村ではこれから宝探しに出発する皆の声が聞こえます。

「宝なんて無いのに。馬鹿な奴らだ。」
タムタムはそのまま眠りに就きました。


そのまま次の日まで眠ったタムタムは賑やかな村の皆の声で起きました。

宝探しに出発した村の住人が、笑顔で帰ってきていたのです。
タムタムがその一人に笑顔のわけを尋ねてみると、宝があったのだと言いました。

驚いたタムタムは宝を見せてみろと言いました。

「それは見せられないよ。」
「どうしても見せられないんだ、ごめんねタムタム。」
「タムタムも来れば良かったのに。」

笑顔の中に、少しだけ申し訳なさそうな顔をして村人たちは答えます。

「おかしい。何も無かったはずだ。」

タムタムは次の日、もう一度宝箱を訪れました。
宝箱の中を開けてみると、やはり紙切れしか入っていません。

しかしタムタムが一人で来た時よりも数が減っています。

タムタムが不思議に思っていると、宝箱のかげから光の精霊が現れました。

「これはね、朝焼けパーティの招待状なんだ。
一人だけを呼んでもパーティにならないだろう？
だから君が一人で来た時は隠れていたんだ。」

「朝焼けパーティ？」

光の精霊は頷いて話を続けます。

「楽しかったよ。皆で過ごした朝焼けパーティの時間は、きっと素敵な宝物になる。」

「なあ、おいらも連れて行ってくれよ。皆と一緒に楽しみたいよ。」

「できないね。また誰かと来たって、嫌だね。
　君は盗みもはたらいたし、沢山のものを傷つけた。
　タムタム、君は反省しなきゃいけないよ。」

光の精霊はタムタムに、嘘ばかり吐く魔法を掛けました。

それから村の皆は嘘吐きタムタムの事を信じなくなり、誰も近寄らなくなってしまったといいます。







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案山子の背後に黒い旗がはためく。

↑ヘカトンケイル（巨人）

↑ギガンテス（巨人）