ユカラとの初デートで、プランを組んだ私の読みは見事的中し、ユカラを感嘆させる素晴らしい内容だった。
　　
　「ブラボーだな、深雪。こんなにゴージャスなクリスマスは初めてだよ。」

　最期はどっかの高層ビルから見える、百万ドルの夜景を眺めながらのレストランのクリスマスディナー
　高級ローストチキンが真ん中に鎮座するテーブルで、ユカラと私はめっちゃ高そうなワインで乾杯した。

　「えへへ、FPを質（屋）に入れてデート資金に当てたからね。私って凄いでしょ？」

　そう、デートのためにFPは犠牲となったのだ。

　「そんな深雪の為に俺からのプレゼントだよ、受け取ってくれ。」

　突然四方からせり上がるガラスの壁が、椅子やテーブルを吹き飛ばして私とユカラを取り囲んだ。
　驚いている私に、ユカラが覆いかぶさるようにガラスの壁に手をついた。

　「ほら、深雪の好きな壁ドンだよ。」

　これが壁ドン。色んな意味で衝撃的だった。
　
　「……いや、全然好きじゃねーし。何がどうプレゼントな訳？」

　ユカラは目を瞑って頷くと、もう一方の手でガラスの壁をドンと鳴らした。

　「俺の壁ドンは……ここからだ。」

　張り手のようにガラスの壁をリズム良く叩くユカラの姿は、いつの間にか浴衣になっていた。
　ドンドンドドドン！ｶｯ！ドドドン！

　「ソーリャ！エイヤーエイヤー！ヨイヤサーノサーサー！」

　いつの間にかガラスの壁の周りには沢山のマグノリアちゃんが、ユカラの壁ドンのリズムに合わせて踊り初めていた。

　「マグノリアちゃん、何やってんの！？かわいいけど、増えてるし！？」

　私の質問に応えること無く、祭りのビートはどんどん大きくなり高層ビルも崩壊し始めた。

　「ぎゃぁああああ！死ぬぅ！ユカラ！これ以上の壁ドンは危ないー！」

　ユカラはにっこり頷くと、私の頭をポコっと叩いて言った。

　「もう一回、遊べるドン。」

　「うわぁぁぁぁああああー！」


　……って、夢を見た。