No.899 暮れゆく窓辺INDEX >>
[設立者] ENo.899 燈子

コミュニティイラスト
城内の一郭。
一揆衆がさほど気にも留めずに過ぎてゆく、廊下に並んだ部屋のうちのひとつ。
忍び寄る闘争の気配に侵され切らぬ、けれども少しく、埃のにおいのする――

窓辺には、黄昏の光が差している。



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ロール用の専用コミュニティです。
恐れ入りますが、関係者以外の参加はご遠慮ください。

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参加者からのメッセージ

燈子(899) のか細い応答 >>
……っ、

何かの折れる音に、びくりと女の肩が跳ねる。
ヤールの方を視線で追いかけながら、けれど、どんな言葉も見つけられないようだ。
しばらく息を詰めていた女が、やがて左腕の焼印を抱いて、小さく呟く。

痛み、は……
死ねるのなら…… きっと、耐え、られる……
いのちが、尽きるまで、なら。


オルガ(1495) の乾いた低い声。 >>
黙って言葉の流れるがままに任せていた。
片目がわずかに痙攣し、隠すように瞼を下ろす。
瞑目して、数秒。
長く息を吐いて……指先でまた虚空を擦り……目を開ける。

ヤールの気まぐれは、求める者へ良いように働く。
こいつ自身がおそらくは、手を差し入れられることを求めているからだ。
だがそれは闇の底へ手を入れること……
……こいつは《不吉》だ。
老婆心の注意だが、まあ、その不吉さは、嗅ぎ分けておけよ。

ヤールの返答に肩をすくめる。
つまり、こいつはあたしの妹なわけね。
それじゃあまあ、そうそう邪険にはできねえか。

欲望と呼べるほど強い想いを、
あんたが知らなかったのは、それじゃ、《少し前》で……
今は欲望を知っているわけだ。少しくらいは。

ふ、と思い出すように笑う。

《何も得てはいけない》人間はいやしない。この世に生まれ落ちた以上は、何かを得ずには生きていけない。
何かを得るってのは、もちろん、《奪う》ことだ。
何かから何かを奪うことだ。
着るものでも食べ物でも、すみかでも金でも……
なにかを《得る》なら、それは必ず何かから奪われて作られたものだ。
あんたが何も得ないことを代償にして、
自分が傷つけられないことを祈るってのは、
だから、論理的には正しい。
生きている以上逃れがたい、根源的な奪い合いから、遠のこうとしてるってことだからだ。

……生きている以上、得ることから、奪うことから、遠のききることは不可能だ。
だから命は、どうしたって罪深い。真っ黒に汚れている。
積極的に生きようとすることは、どうしたって、積極的にその罪深さに足を踏み入れることだ。
怖いか? 怖いだろうな。生き方を変えるってのは……あんた自らを失うことだからだ。

過去の姿を失うことだからだ。
――引き返すことはできない。
だが進まなけりゃあ死に至る。
どこかで決めな。死ぬよりも先に。

左手が虚空で揺れる。

――目は、治していいのか?
この世界のエンブリオの授けた魔法だ。そうあやしいまじないじゃあねー。

ヤールの方を見て。

ま、痛みがないほうがいいやつのほうが多いだろうが……
死ぬってのは大事だからな。
あたしは、痛いほうがいいと思うよ。
そのほうが、最期くらいせめて、命のありがたみってやつがわかるからさ。



参加キャラクター : 3名