真夜中の城内。地下水路にて偽は舟を漕ぐ。
　うとり、うとりと頭を揺らすたび、水に浸した細い足首が静かに震え、冬の始まりを告げる吐。冷えそびた水の面には薄ら丸い波紋が描かれた。
　冬の水は骨身に凍む様に冷たい筈だのに、頭を揺らす蒼銀はさもぬるま湯にでも浸かっているかの様に、実に安らかに微睡んでいた。
　うと、うと、こくり。かくり。水飲み鳥の玩具の様、何度も前屈んで水面に近付けば、腕に抱き締めた銀色の葉の束がはささと揺らいで震えていた
　夢うつつな紫は俯いていた頭を擡げ。葦のように芒のように細い銀葉の束を確りと抱き締め直して、また眠りにつく。





もういちど















　　　　　　　　　　　　　　わたし
ああ、ねぇ　ねぇ。偽は《私》を今度こそ次いでくださいますか？

　いい加減慣れはしたが、この城がどこに繋がっているかなど想像もつかない。２、３進んだだけで王配下の兵と遭遇というのは勘弁願いたい。

　環境の厳しい土地の話は少なからず興味ある。


　オーバーテクノロジーへの考えは正しかったようだ。そして西部時代というものは、どうやら開拓の時代だったらしい。

　自分もある意味で開拓する者ではあるため。

　

自分の世界にもいた（モンスターだが）うなぎを思い浮かべる。
…アレはそんな濃い顔をしていただろうか？

なんか貴女との戦いは楽しんでたみたいね、なんて言いつつ。

一度襲われただけに、心配しているようだった。

あんまり負けてもへこたれていないようだった。

渇いている。
その言葉に、す、と目を細めた。

寸前で落ちたその掌を、取ろうと猟人のかさついた掌が彷徨って、
こちらも諦めたように止まり空を握る。

奥底で燻っている。

呼吸に紛れるような声音をしていた。

ひどく強欲な人間なのだろうな。
自嘲のように言葉を響かせて、瞼を伏せた。

思いっきり目を反らしつつラウを撫でながら、ブツブツと呟いている。

PKとやらの話に耳を傾ける。

もう二度と。

あといくつ歌えば良い。どれほど歌えば良い
農奴以下の雑草に、どれほど歌えというのだろう。

その死の輪廻を今度こそ絶つ。

――ァ、　浮雲　よ　……ッ


今こそ名を―――