どんな顔で笑うのか、知っている相手には殊更優しく出来るってだけさ。
それは多数の人間が、もともと備えているもんだ。
俺が、というわけではない。だが、その評価は有り難く受け取っておくよ。

それが分かっていれば良いさ。現実は非情だ、潰されないようにな。

ん、そうかい？ならよかった。

不謹慎ね……ま、見聞が広り視点が増えた、ということだろう。
内容は分からないが、自制が働くんだ、恥じることでもないさ。
心を揺らがせる関心事が増えたということは、喜ばしいことじゃないかな。

ずずいと言うが、なかなか……無意識なわけだしね。
そもそも――あなたではなく、これは俺の理解力の問題と言うべきであって、あなたのせいではないし。

はっは、程よい緊張感じゃろ。
うむうむ、尻にご執心仲間ではあるがな、主殿のことが大好きゆえ、大丈夫大丈夫。

あぁ、頭の隅っこに留めておいてくれればいいさ。こちらこそ。

まぁそういう奴はね、大抵計算尽くでやってる賢い奴だから。
俺みたいにスレた可愛げのない奴は容赦なくぐいぐい引っ張って笑って尻に敷いてくるが、
あなたみたいなお淑やかな器量良しには、ちゃんと合わせてくれたりするよ。ただの馬鹿じゃあないからね。
ノーと強く言って引いてくれないただの馬鹿だったら一目散に逃げなさい。俺は逃げた。

食い付いてくるのぅ。
お主も一皮脱いで主の役に立ちたいと思ってのことかもしれんが、ならばなおさら教えぬぞ。
わしは河童じゃが、エンブリオとして扱う力は「河童」のものではなくなってしまったしの。
お主に何かあったら主が心配しよう？そこまで責任は持てぬし、わしが主殿に迷惑かけるわけにはいかぬ。

なん……じゃと……ぐぬぬ、思わぬところに穴が……！
しかたない、その役目は別のエンブリオに譲り、
「もこぬくひやつる」というわしにしかない、この魅惑的特徴で主殿に売り込むしかあるまい。

っと、なんじゃ胃袋の小さい童じゃな。キュウリの96%は水じゃぞ、飲み物感覚でいけんのか。残念じゃのう。

そうですね。
ティムラハさんに作っていただいたものが、わたくしを助けてくれるので、よくわかります。

何かから、別の何かを作り出す、というのは凄いことです。
わたくしには出来ないことです。このお手てが道具を作って、道具を使う。少し、羨ましいです。

聞こえんなぁ。

あ、まぁ、いる。うん。……男はね、極稀にね、
普段では考えられない、馬鹿みたいな行動を、なんでかしちゃったりするんだよ……はは……

あれはああいう枕詞みたいなもんだ、真に受けなくていい。
そのまま転がしておけばいいよ、アフロのお陰で頑張れば起き上れるようになったようだし。
ほんとお前は、真面目な顔でアホなことするよな。

今のは事故じゃ、不可抗力じゃ……

あ、あ、

済まなかった、ハルニレちゃん。
確認の必要があったとはいえ、居心地悪い思いをさせてしまって。クローシェさんも済まない。

彼女たちは俺と契約するエンブリオではないんだ、彼女たちは彼女たちの枠組みの中で生きている。
端が交わることはあっても、お前たちのように、完全に俺の枠組みの内に重ならない。
友達ってのは、いくら遠く離れた地にいようとも、縁は切られることなく繋がっているものさ。
だから別れの日が来て、さようならと言っても、友達であることは変わらない。
彼女らが、見捨てられたと思う事は無いんだよ。

はい……あの、ハルニレさん、クローシェさん、済みませんでした。
わたくしのせいで、お困りにならせてしまって。
お二人のことは、分かりました。大丈夫です。ありがとうございます。
わたくしも、こんな不肖者ですが、これからもお友達でいたいです。よろしいでしょうか……？

なんとも不便なことだよ、この仕組みは。
ぼくらは選別される側なんだ。主の気まぐれでぽいと棄てられる――怖いことだよ。

周りは白目で見てるけどね。
まぁ、ぼくらの知ったこっちゃないし、軋轢がこちらに及ばなければお好きにどうぞってやつだ。

君も――何というか、変わった性格だね。言葉でどう表現したらいいのやら。
不満が無いのなら、正しい速度で回ればいいさ。喜ぶも泣くも、君がしたいときに我慢せずすればいいのさ。

クマちゃんおに！クマちゃんおに！ワァイ！

それは危ないからナシにしようね、力加減下手糞なんだから。

しょんぼり。

触手を使わなければ、酷い怪我をさせたりはしない……と思うよ。たぶん。
クマちゃんはなんかやる気みたいだけど、ルアルくんもやるのかい？

ああ、いや。そんな大層なことじゃないんだ。ごめんね。

ちょっと説明が難しいことだっただけで。

本当なら、アナタより背も高いし、ごく普通に人間の姿なのよ。

そうよ。そうやってかわいい子はかわいいって言われて照れ笑いしてるのが一番かわいいの。

では、参りましょうか。

終わり、だな。

お疲れ様でした。皆様無事で何よりですわ。

……ここは、厭な風が吹く。

……（よく見れば眉根を寄せている）

……かかわってはいけない気がしますわね、本能的に。
けれど、かかわりざるを得ない、ですね。

【AFP＝時事】シフト制勤務を10年以上続けている人は、脳の記憶力や認知力が低下する可能性があるとする研究結果が、4日の英医学誌「Occupational and Environmental Medicine（職業・環境医学）」に掲載された。低下した脳機能は回復可能だが、それには少なくとも5年かかる可能性があるという。

　体内時計を混乱させるシフト制勤務については、これまでにも潰瘍や循環器疾患、一部のがんと関連が指摘されている。しかし、シフト制勤務が脳に与える可能性がある影響についてはあまり知られてこなかった。