研究室を光が舞い、雷鳴が轟く。
戦闘の余波で、研究装置がどんどん損傷していく。
エンブリオを弄んだ事に対して憤りを感じていたリナが、あえて魔法を散らしている感すらあった。
研究設備を活用して多数の障壁を構築し、我が身を守っていたフォルシュだったが…障壁の根源である研究設備を破壊され、リナ達の手数で障壁を突破されてしまうと、なす術なく吹き飛ばされてしまった。

「クローンエンブリオの種は王へ共有済み・・・私の実験もひとまずここまで、でしょうかね・・・・・・」

原形を留めている機器に寄りかかり、フォルシュは気を失う。

「………ふん、因果応報よ」

気絶したフォルシュにそう言い放ち、次はどこを破壊しようかと目論んでいたリナだったが…部屋の隅の装置を見て、ふと手を留める。

「………あら？」

奇跡的に機能を維持していたそれは、転送装置だった。「三階廊下」という表示がされている。

「………これ、多分森の中から続いてる廊下より中枢に近いわよね？」

『クローンエンブリオの種は王へ共有済み』というフォルシュの言葉を思い出しながら、リナは静かに憤りを留めていた。

「…近いうちに殴り込みに行くわよ。色々やらかしてくれた事への落とし前、きっちりつけてあげるんだから」