<Days45>


「ハロウィン……ですか？」

　私の目の前に腰掛けているルシエ・ソルブランシェという少女が不思議そうな声で聞き返してくる。

「そう、ハロウィン」
「それは何ですか？何かのお祭りかなんかですか？」
「御祭り……、そうだねお祭りだよ。私の世界野良しか収穫祭で世界中で大騒ぎするんだよ」
「世界中でですか、なんか凄いですね」
「私の世界は、世界中どことでもすぐ連絡が取れて乗り物に乗って誰でもあっというまによその国にいけるからね、そういうのがひろまるのも早いんだよ」

　私の説明に興味津々になって着きってるルーシェが私にはとても眩しくて、いつか話した世界を見せてあげげたいと心の中で思うようになっていたのだった。
　そんな私の事は考えずに彼女は私にその私の言ったお祭りについて質問してきた。

「それでそのハロウィンってどんなお祭りなんですか？私のいた世界だと収穫物を前に、感謝の踊りをしたりとかでしたけど……」
「へー、ルーシェの所だとそういう感じなんだ、私のいた世界でもそういうお祭りをするところがあるかもしれないけど、ハロウィンはね、お化けや魔女の仮装をして町中を練り歩いて、色々な家や人に【トリック・オア・トリート！！】って言って歩くんだよ」
「トリック・オア・トリート？どういう意味なんです？」
「それはね、お菓子をくれなきゃ悪戯するよってね」
「へぇ、面白そうですね」

　仮装というのが興味を引いたのか、彼女が目を輝かせたのを私は見逃さなかった。

「ルーシェ、気になった？実はね、そう言ってくれると思って、こういうの用意したんだけど」

　私はそう言って足元に置いてあった紙袋から一着の服を取り出した。

「それは？」
「ハロウィンの仮装だよ、ルーシェなら興味持つんじゃないかな？って思って用意しておいたんだ」
「え？私に？でも祀のは？」
「私のも別のを用意してあるから大丈夫だよ、向こうで着替えてきてよ、お互い着たところで見せ合いっこしたいなって」
「う、うん……判った」

　彼女はそう言って、私から黒い衣装を受け取ると奥の部屋の扉を閉めた。

「きっとあれ、ルーシェに似合うよね」

　私はそう言って袋から白い衣装を取り出すと着替えていったのだった。


　§§§§§§§§§§§§§§§§


「ルーシェ、入るよ？」

　私はクレリック、というにはわずかばかり丈の短めの衣装に着替え終わったが、なかなか出てこないルーシェのことが気になり、彼女のいる部屋の扉を私は開ける。　私と視線が合うとびくんと彼女は身体を隠すようにしてその腕で身体を抱いた。

「着替え終わってるなら、呼んでくれればいいのに」
「だ、だって……」

　恥ずかしそうにする彼女の気持ちは私は何となく判っていた。
　彼女の着ているのは黒い魔女の服、ただし若干丈は短めで普段彼女が着ている服から見ると大胆とも言えるくらい露出の多い物だったからだ。

「私はルーシェになら似合うと思って用意したんだけどな……、私の事信じてくれないんだ」
「そ、そんな事は……」
「じゃあ私には見せてくれても良いと思うな、だってここには私とルーシェしかいないんだしさ」
「う、うん……」

　そう言って彼女はゆっくりとその手をほどいていった。
　私の見立てたとおり、いやそれ以上に彼女の細くて華奢な身体とその服は似合っていた。
　その頬を恥じらいで、赤く染めておいる彼女の表情が、拍車を掛けてかわいらしさを増していたのだった。
　思わず私は見とれそうになったが、何の日だったかを思い出し口を開いた

「Ｔｒｉｃｋ　ｏｒ　Ｔｒｅａｔ？？」
「え、えっと……」
「じゃあ両方だね」

　どう答えるか迷った彼女の唇を私は自分の唇でそっと塞いだ。

「甘いルーシェちゃん貰うし悪戯も両方しちゃうよ」

　私はそう言ってくすりと微笑んだのだった。



TobeContinued……

今回の日記もルシエ・ソルブランシェさん(2010)をお借りしました、感謝！！