[？？？]


――ふと気が付くと、僕は見知らぬ場所にいた。

見慣れた部屋ではない。

通い慣れた広場でもない。

居心地のよかった工房でもない。

全ては白。

周りに何もなく、どこまでも白い場所だった。



右の頬を抓って見る、痛い。
痛いからこれは夢ではない、そう感じた。



それならここはどこなんだろう？
僕は確かいつも通り工房であれこれ思いを巡らせていて、確か……

確か、何かを思いつきかけていた気がする。
非常に重要な何かを。今までの事を丸ごとひっくり返すような何かを。

でも思い出せない。
その時の感覚を思い出そうとしても思い出せない。
まるで靄がかかったような感じでいくら頑張ってもその靄は晴れそうになかった。



それならばどうする？

僕は少し考えた後、考えるのをやめた。
こういう時は直感に頼るのがいい、それが僕の経験則だ。


僕は見渡す限り何もない空間をあてもなく歩き始めた――




・〜・〜・〜・〜

合流した僕達は再び共闘する事となった。
僕としても先の激しい気配への危惧もあり、味方は多い方がいいと思い今回もその誘いに乗った、という次第だ。

そして集められたメンバーは前回の共闘とはまた違ったメンバーだった。
顔が広い人だなぁと思いながら各人に挨拶をしていった。



そして、僕達は前の廊下を進んでいた時以来の大所帯で僕達は大礼拝堂を進む。
メンバーは変わっても人数が多いと自然と高まる高揚感。
数日ぶりの感覚に少し懐かしさを感じながらも僕は皆と共に進む。


暫く進むと急に開けた空間に出た。
これまで進んできた場所とは異なり、神秘的な雰囲気を感じる。

その空間には多くの先客がいた。
見たような人もいるし、そうでない人もいる。
反応を見る限り、僕達を待っていた様子ではなかった。

それならば通り過ぎれば――と思った矢先、後ろから誰かが現れた。
この人達は知っている。先に謎の黒騎士相手に共闘したギルさんとシズクさんだ。
どうやらこの一団は彼らを待っていたらしい。
その様子を見渡した一団の中の一人――確かアヴィドさんだったっけ――がはっきりとした口調で言った。



悪いが皆殺しだ――と。



その瞬間張りつめる空気。
一団は各々が各々の様子で言葉を発し、それに対してアヴィドさんは満足そうに戦闘態勢を取る。

……この戦いは一揆とは恐らく関係が無い、しかし無視するわけにもいかず、そしてそれが容易でない事も事実だ。

一緒くたにされ、巻き込まれた形となった僕達は仕方なく戦闘態勢を取った――