<Days43>


「書いてある事は取り立てて、不思議な事はない、よね……？」
　書かれているレシピは普通の料理の手順のように見えて、その使っている材料などが魔法の儀式でで使うような材料が多い事に私はなぜか気がつかずにいた。
　気がついていたのかもしれないが、意識できずに私はいた。

　私は先日手に入れた料理の本を読みながら小さく呟く。

「大事な人に食べさせて上げると良い料理……」

　なぜか心に残っているその言葉がその本を見ていると、繰り返し思い返されてくる。

「そういえばヰルさんに貰った香水もそんな風に説明されたな……」

　私は気がつくと彼女に貰ったピンク色の小瓶に入った香水を手の中で弄びんでいた。

「大事な人……はルーシェちゃんだよね、この本に書いてある料理を作って上げて、この香水をつけて一緒に料理を食べれば幸せな気持ちになってくれるのかな？」

　私は普段、確信するはずもないそのことをなぜか無意識のうちに確信していた。
　まるで、何かに導かれるよう考えていて、それを私は疑う事すらせず、本に書かれたどこか簡単に手に入りはするが怪しげな材料を集める為に市場へと足を向けていたのだった。


TobeContinued……