本日の日記は、シエラさん（Eno.1009）の個人メッセ〜練習試合〜結果、としてのものになります。








どうして、だろう。


振り下ろされる刃に、……――これは、罰なんだ、って思ってしまったのは。







彼女と出会ったのは、ちょっと前。特別何かがあったわけじゃなかったはず。
もしかしたら、最初から私を殺すつもりで声かけてきたのかな。
そうだとしたら、あのときの私は、とても無防備だったと思う。

…あのとき、じゃないか。いつでも、なのかも。

私は、私の周りはいつも暖かくて、リオンが傍にいてくれて、私を必要としてくれて、みんなが優しくて、毎日、きらきらして、とても、幸せだった。
忠告は、何度か受けてたんだ。いい人ばっかりじゃないって。
でも、私はいい人しか見たことがなくて、だから全然信じてなかった。

人斬り。

そう呼ばれる人たちは、私たち、一揆に参加している人たちと何が違うのか、――……正直言えば、今でも全然わからない。
自分のほしいもの、たとえば自由とか、ネクターとか、…お金とか。
自分が大事だって思うものの為に、他の人を傷つけるのは、一揆だって、人斬りだって、一緒なのに。
けれど、みんなは、一揆と人斬りは違うって区別してた。
……私は、そんな話を聞きながら、ずっと、人斬りの人が可哀想、だなんて考えたり、してた。

多分、彼女は、その人斬りと呼ばれる人だったんだろう。

リオンを理解するために。
リオンと友達となるために。

彼女は、……シエラと名乗った彼女は、そう言っていた。

シエラの理屈は、私にはちんぷんかんぷんで、襲い掛かられるまで、本当に殺されそうになってる、なんて気づいてなくて。


ごめんなさい。

逃げ切れなかった。
リオンを理解するために、リオンと友達になるためには、こんな方法間違ってるって伝えられなかった。
こんな結果、……余計に溝が深まるばかりなのに。
シエラさんに、……ちゃんと、お話、出来なかった。


本当にごめんなさい。

私は、リオンのそばにずっといないといけなかったのに。
リオンが必要としてくれるから、私は、私なのに。
もう二度と離れたりしないって誓ったはずなのに、……私、嘘ついちゃったかな。もう、嫌われちゃうかな。


ごめんなさい。

……私に、斬られたひとたちは、こんな痛くて辛い思いをしたのかなあ。

本当に、本当に、ごめんなさい。
謝って、許される事じゃないけど

――……罰を受けても、罪は消えないけれど。






――――――――――






振り下ろされる刃は、少女の身を貫いた。
抱きかかえるシエラの腕の中、ずる、り、と首が――少女の身から、離れて、落ちていく。


その首が、地面に触れるより早く。

抱きかかえるその身体も、落ちていった首も。
本来ならば溢れてシエラの身を汚すであろう鮮血も。

少女を形作っていたものは、全て、赤い花びらとなって。

ぱん！と風船が弾けるように辺りに散らばり、舞っていく。
ふわふわと舞う花びらは、けれど、地面には落ちずに宙を漂い。

吹く風に舞い上がるように、ネクターの花に模した其れの最後は、空の中へと消えていく。

死体など残らない。
舞い上がった花びらも、今は、落ちてはこない。
全ては消えうせて、少女などこの場にいなかったかのように、少女に突き立てた刃の傍に、粉々に砕けたガラス玉が転がるだけ。

呆然とするシエラの傍に、たった一枚、少女の欠片であった花びらが、少女を抱いていたその手へと落ちていく。

――同じように。
今しがた、到着したばかりの、少女が消える瞬間を目の当たりにした――少女の保護者でもあるリオンにも、花びらは落ちていくだろう。

ふわり、ふわり、と舞い落ちる花びらは。

少女が、二人に、手を振っているようにも――。













※

ここから先は、PL情報となります。

花びらは”樹里（ジュリ）”を（どのような形であれ）望む人の場所へと降ってきます。
窓から入り込んできたり、突然虚空より出現したり、発生状況はお任せします。
他にも、探そうとさえすれば、地面にも落ちていたり、川に流されたいたり、世界のいたる場所で其れは見つかるでしょう。
（ただし、ジュリの存在は知らないがたまたま見つけたりという事は出来ません）

花びらについて、何かをするとき、思うとき、話しかけるときなどは、出来ればEno.2890まで個人メッセージをいただければありがたく思います。

　　　　　　──人もをし　人も恨めし
　　　　　　　　　　　あぢき　　　なく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　世を思ふ故に
　　　　　　　　もの　　　　　　思ふ身　　　は───