これまで暗殺を生業としてきたのだ。
闇に紛れて隠れるのは得意だ。
別に夜でなくても構わない。
どんなに日が高くとも、光がある限り影は出来る。
黒尽くめの服と、翼を使い、草木が多く、影になる場所に。
どんなに不快な感触がその身を襲おうとも、巧妙に。

以前は標的の殺害の為に、
見るからに不衛生などぶの中に潜伏し続けたこともある。
あれに比べればどれほど容易な事だろうか。
自分を呼ぶ声が聞こえたような気がする度に、
その身を縮めた。



さて、生きるためには食料が必要だ。
ソウハに出会ってから私はソレを痛いほどに実感していた。
どれだけこの現実から逃れたくとも、
空腹から逃れる術は食事か、死か、その二択だ
目の前のこの巨像が、私が食べようとしていた木の実を
その長い鼻で我が物にしようとしている
慈悲などどこかに置き忘れてきた自分だから――
生きるために、消えてもらおう。

……たとえ自分に、生きる価値が微塵もないのだとしても