慎一郎「ついたのか、おい。立川君、状況は？」
望「神坂少尉。安心してください。予定通り、転移に成功しました」
安堵した二人。天装機を降り、まずはラルフに腕試しをしろと進められた。
機体に乗っての戦闘はまずいだろう、と……。
望「では私がお相手します」
慎一郎「おいおい。ここは俺が……」
望「私は合気道３級、柔道初段、薙刀もたしなんでいます。あなたよりは戦えます」
そういわれて慎一郎は言葉を詰まるが……、
実際この３つほど下の少女には歯が立たないのは事実だ。
しぶしぶ戦いの役目を譲ることにした

――奇妙な視線を感じる。
君がその気配に気付いた時、相手もまた気付かれたことを悟ったのだろう。
隠れている必要は最早ないと判じたか、物陰から姿を現す。
それはまだ幼いと言っても差し支えない、十代半ばの少女だった。

気付かれるとは思わなかったよ、と。
君を褒めるように呟くと、彼女は一転して笑顔を向けてきた。

少女――アムルイはそう言って、屈託なく笑った。
君からすれば、彼女はこの戦いにおいて先達ということになるのだろう。
一見すれば華奢な少女だが、その実、肉体は比類なきほどに鍛え抜かれている。
単純な身体能力だけではない。些細な身のこなしにも、徹底された理合が見て取れた。
それは才能ある者であっても、僅かな期間で身につくようなものではない。
彼女の年齢を考慮すると、ともすれば言葉よりも先に戦う術を覚えた手合いだ。
そのようにアムルイを観察していると、彼女はその笑みを満足そうなものに変えた。

どうやら彼女なりの親切心だったらしい。
値踏みして、利用できる相手は利用しろということなのだろう。
それは値踏みした相手からしても同じことだ。
そういった利用し合う関係でも、助け合っていくことが重要だと説いているようだ。