こうして直接会うのは、久し振りかもしれない。
アムルイ・パセニシパ――以前とは、どこか受ける印象が違う。
それが心境の変化なのか、それとも何かしらの力を得たことによるものかは分からない。
しかし今、目の前にいるのは、以前のアムルイとは別人だと思っておいた方がいいだろう。

そう言って屈託なく笑う姿が、むしろおかしいとさえ思う。
風の噂に聞いた程度だが、彼女の近況はそんな笑顔を保てる筈ない、地獄めいたものだ。
ひょっとしてもう、心が壊れてしまったのではないか？
そんな疑問すら浮かぶが、それはすぐに否定できた。
何故なら彼女の瞳には、確かな意志の輝きが健在だったからだ。
狂人でも廃人でもない。
アムルイ・パセニシパは、何らかの答えを得てここにいる。
そのことは、彼女の言葉ですぐに証明された。

それはかつて拒んだ誘いの言葉。
そのためにいつか、敵になるかもしれないと覚悟もした。
けれどあの時とは、君を取り巻く環境も変わってしまった。
今ならば、あるいは違う答えを出せるのかもしれない。
けれど違う答えを携えて来たのは、アムルイも同じだった。

連邦。それは複数の国家が同盟を結び、ひとつの政府を持つ在り方だ。
王を廃した国々が構成することが多いが、それが存在しないわけではない。
アムルイが今、示したものは、王制の存続という可能性だ。

そうして辿り着いた答えに、君はどう向き合うべきだろうか。
いつかのように拒むのは簡単だろう。
かつてのように向き合うのも可能だろう。
しかし新たな道に、同じ場所から答えていいのだろうか。
……君の答えを待たず、アムルイはこう続けた。

――疑いようもなく、彼女は君の真実を知らない。
君が本当は何者であるとか、君が抱えている迷いや負い目だとか。
しかしそれを知っても、彼女は変わらないのだろう。
彼女が求めているのは、ここにいるグレンダ・エイル・カートライトなのだから。

そうして彼女は、君に手を差し出した。
いつかとかつての、別れてしまった道をもう一度繋ぐかのように。

占星術師は静かに微笑む。
彼女の言葉を待っていたかのように。

器。
彼女は自らの理想をそう示した。

真摯に語りかけたと思ったら、急に砕けた物言いになる。
これは彼女の本質なのだろうか。

ギガティスがけたたましく騒いでいる。

視線を向けると、あるものをﾋﾞｼｯと指さした。

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた