時風が連れてきたエンブリオは、アニマという種類らしい。
何かあったらしく、ひどく魔力を消耗して弱っていたそのアニマと契約を結び、彼女の調子が元通りになるまで面倒を見ることになったのがついこの前の出来事だ。

「しかし主様、この先に進むつもりかの？」
「……ええ、そのつもりですが」

槿花と名付けたアニマに答えると、槿花は何やら目を細めた。
真っ白なその指先を口元にやり、僅かに首を傾げる。

「……ふむ。新参者が口を挟むのもどうかと思ったのじゃが……主様、あの庭師は手強いぞ」
「……知っているんですか、あの庭師を」
「直接的に言葉を交わしたことはないがの。放浪していたときに他の人間が戦っていたところなら見ておる、手強い男じゃった」

今の主様では突破できんかもしれんぞ？
槿花が放った一言に目を細め、少し考えてから私は溜息をついた。