<Days37>


「太陽が眩しいね」

　私は空を眩しそうに見上げながら隣にいるルシエ・ソルブランシェに向かって声を掛ける。

「そうですね、海が近いからでしょうか？余計にそう感じますね」

　彼女も私に釣られるように空を見上げその眼を細める。

「あ、あそこかな？海の家」

　ゆっくり歩きながら白い砂浜の先にある小さな掘っ立て小屋が視界に飛び込んでくる。

「こうやって潮の香りが感じられると海に来たって思えるね」
「確かに潮の香りって独特ですよね」

　私はその潮の香りを感じるとドキドキするのを止められなかった。

「それじゃ早く水着に着替えちゃおう」

　私は待ちきれないというように彼女の手を取ると海の家に向かって走り始めた。

「そ、そんなに急がないでも逃げないですよ」

　彼女はそう言いながらもどこか楽しそうに笑みを浮かべたのだった。


　§§§§§§§§§§§§§§§§


「ルーシェ〜、まだ〜？」

　セパレーツの水着にパレオの水着に着替えると、更衣室のシャッターの前でなかなか出てこない彼女に声を掛ける。

「あの……もうちょっと待ってください」

　さっきから同じようなそういう答えが返ってくるだけの彼女に私はついに業を煮やして、彼女の更衣室のシャッターを少しだけ開けると中を覗き込んだ。
　更衣室の中では彼女は先日一緒に飼いに言った水着にすでに着替えていたが、どこかもじもじしていたが、私と視線が合うと心臓が飛び出るような声を上げて驚いた。

「着替え終わってるのにどうしたの？どこか調子悪くなった？」

　私は更衣室へ入ると彼女の額にそっと手を当てる。

「い、いえ、そう言う訳じゃないんですけど……」
「じゃあどうしたの？」
「なんかその……恥ずかしくって……」

　真っ赤になって俯く彼女が私にはとてもかわいらしく見えた。

「大丈夫とても似合ってるよ」
「そ、そうですか？」

　真っ赤になって見つめる彼女のことを見ていると私は我慢できず、ついその唇を奪う。

「あ……」

　唐突な私の行動に彼女は驚きの声を上げる。
　唇を離すと驚いている彼女の手をつかむと私はそのまま更衣室から引っ張り出す。

「ずっと更衣室にいても仕方ないし、早く外に行こうよ」

　私と彼女は夏の青い空の下の海へと飛び出したのだった。


TobeContinued……

今回の日記もルシエ・ソルブランシェさん(2010)をお借りしました、感謝！！

ま、それは辺りにしてと自ら話しを切った。

そう言って、穏やかな表情で祀の温かい手に指を絡めました。

スズメが鳴いている。

ナイトメアが悪夢を押し売りしている。