一揆開始から〜　数週間前：
家を出てから、どれだけの月日が経っただろう…
はじめのころは、生きていけるかという時点でビクビクしてたが、
今ではなんとか、人間らしい生活が営めてると言ってもいいのではないだろうか。
…とはいえ、季節の半分は洞窟暮らしなのだが。

なぜ私はこの世界に生まれたのだろうか。
もともと、こういう洞窟で過ごす種族だったんだろうか。
商売柄、どうしても春や夏に街に出なくてはならないのだが、
常に魔法で気温を調整しながら活動しないと、とてもではないが死んでしまう。
そんな私が、何故。あの家で暮らしていたのだろう…
氷貯蔵倉という私の部屋…。そして…いや、やめておこう。



一揆開始から〜　36日目:
疲れた…。
今回の進撃は、負けこそしなかったものの…いや、ほとんど負けのようなものだ。
攻撃しても攻撃しても回復され、倒すことができない…。
魔法を使うだけ使って…まあ、向こうもろくに攻撃してこなかったのは、せめてもの救いだったのだろうか…？

久しぶりにマヤと２人きりになった。
…だからといって、何というわけではないのだが…

突如ネルケから発されたのは、尋常ではない悪意。
気を緩めれば引きずり込まれそうなほどの闇。

…しかし、その威圧感は数秒で消え失せた。
あとに残ったのは、旅を共にしてきたいつもの仲間だった。

はらりと取れた眼帯の下には
キラキラときらめく黄緑色の宝石が入っていた

スズメが鳴いている。

ナイトメアが悪夢を押し売りしている。