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万聖節の前夜。Hallows eve
子どもたちは白い布をかぶったり魔女の格好をして家を巡ります
子ども達だけではありません
祭りごとが好きな冒険者たち、また彼らに当てられた街の人も仮装をして練り歩きます

その中に一人、狼の耳を付けただけの女性が居ました
薄桃の髪を束ねてまとめ、眼鏡をかけた、素朴な女でした
ある程度できていた流れを逆流する様に街を回っていました

二回は歩きとおしたでしょうか。やがて女は街を後にします
街の東の森の中、慣れた足取りで進んでいきます
やがてぽっかりと開いたスポットにでると、振り返りました



そこにいたのは、薄紫の髪を適当に切った糸目の法具師でした
女と同じ形の眼鏡をかけた青年に、女は悲しそうに笑いかけました

「キミだったんだね」

0時を針が回ります。楽しいパーティーの時間は終わりです
魔法薬の効果が切れ
そこには淡緑の髪の女がライフルをもって立っていました


「どうして、村を焼いたの」

「僕だけ帰る場所がないのは、ずるいでしょウ？」

「どうして、記憶を消したの」

「その方が、おもしｒ――」

たぁん

銃声が青年の声を遮りました
肩を撃たれた青年の顔に髪がかかって表情が隠されました
首飾りが千切れ法具が散ると、抑えられていた魔力が解放されます
それは確かに、あの日のものでした


「どうして、」

「人間が、憎いからですヨ」

「どうして、」

「自分を実験台にするつもりはありませんかラ」

「――……」

「もうお終いですカ？」

「閉幕だよ」

淡緑の女がライフルを構え直しました
銃口の先には、青年の心臓
遠距離用の武器でも、今ここで青年が背を向けて走り出しても
彼女には仕留められる自信がありました
そう仕込まれたから。この街で鍛えられたから

引き金に指がかけられました
そして、力を籠めました


たぁん


舞い散る青年の血

倒れる


彼女の身体



黒く染まる髪




Halloween
魔法の時間は、終わりです






彼女の名前は、キズナと言いました。

ｸｽｸｽ…
　ｸｽｸｽ…