世界漂流三十六日目

山岳を突き進むこと四日目か五日目である。
ここまでまっすぐに進むのはもしかして初めてやもしれん。
しかし別れたり合流したりと、色々と忙しい者達だな。

以前に比べて山岳に現れる相手はおとなしく感じる。
いや、何せ以前は一撃で気絶させられたりした覚えがあるものの、このほどの戦いではそのような危険とは無縁と言えるだろう。

○コレスク
特徴は攻撃・防御・回復の三点を一挙に行うその器用さと言える。
またそれを補うほどの耐久力がある。
ただし攻撃力自体は高くなく、まぁ正直痛くない。
この世界各地にばらまいている観測術式を持って大量のデータを集めているが、これを驚異と感じるのは難しい相手と考える。

○ギガンテス
エンブリオである。
名前からは結びつかない精神型攻撃者であり、特徴はその高い耐久力である。
うむ、耐久力以外そこまで恐れる相手でもない。
面倒なのはその不屈の精神である、と言いたいが……まぁ攻撃に耐えられるならそもそも問題のない相手と言えるだろう。
注意点はこちらの攻撃にカウンターをしてくることだ。

○イールサーン
キャットハンドと言う痛い攻撃をしてくる。
───が、それだけである。
実際に痛いのかと言われると猫に引っ掻かれるようなものだろうか。
猫、と言えば私の世界にも猫型異族は多数存在する。
猫に変身できる変化猫族、見た目ただの猫だが喋るし二足歩行もする偽猫族、そして人間の見た目に猫の耳と尻尾だけが付いたネコミミ族。
ちなみにこのネコミミ族は歴史に度々登場する有名種族でもある。
異族が【人害】と扱われていた時代に人間の奴隷として、であるが。

ネコミミ族は基本人間と同等である。
力も能力も見た目も、耳と尻尾以外人間と遜色が無く、そして知識や文明という点で人間に劣っていた。
人間が奴隷として扱うのに十分な資質があった、といえるか。
まぁ異族平等宣言以降、異族代表として扱われるぐらいになっているが。

さて、サボっていた間のエンブリオに関して……はまた次に記すとする。

山道に疲れて息も絶え絶えである。